「ゴーン」大逃走劇の舞台裏 協力者に日本人、元グリーン・ベレーも

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記者救出のヒーロー

 PJはトルコ・イスタンブールに到着し、ゴーンはベイルート行きの別のPJに乗り換える。その際に、PJを運航するトルコの航空会社幹部はこんな風に脅されている。

〈ベイルートの知人から、“国際的に重要な仕事を持ち掛けられた。協力しなかった場合には子供と彼(幹部)の妻を傷つけるだろう”と言われた。連れられてきた人をジェット機から他のジェット機へと連れて行った。誰なのかわからなかった〉

 ゴーンは手荷物から“人間”になったものの、この幹部の協力でトルコの出国審査もスルー。彼を乗せたPJは30日の6時14分にベイルートの空港に着陸している。

 元グリーン・ベレーの横顔にも触れておくと、

「2009年、アフガンでタリバンに拘束されたNYタイムズ記者を救出したことでよく知られています。しかし、経営する警備会社が米国防総省との契約に関し、60億円弱の契約を結ぶ際に、彼がキックバックを行ったとして詐欺罪で訴追され、15年12月まで刑務所で過ごしていた。奥さんはレバノン人です」

 ゴーンはこのスキームに22億円を支払ったとされる。カネを必要としていた「堕ちた英雄」と自由を切望したリッチな元経営者。「大脱走」の役者は揃っていたようだ。

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

特集「風と共に『ゴーン』10の謎」より

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