TBS「グランメゾン東京」が12月29日の最終回で、最高視聴率を記録した“深い意味”

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日テレが仕掛けたバラエティ特番

「94年に日テレが視聴率三冠王を奪い取り、その頃までに変わりました。それまでの三冠王はフジテレビで、バラエティに加えてドラマが強かった。ドラマが強くない日テレは、フジのドラマを潰すために、なりふり構わず大型バラエティをぶつけた。期首期末、特に年末年始は制作費も潤沢でしたから、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(89~96年)や『衝撃映像信ジラレナイ99連発』(96~04年)、『あの人は今!?』(95~06年)などの特番はじめ、『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(96~02年)や『電波少年』(92~03年)といったレギュラーの大型特番化などで対抗したわけです。これをやられたら、通常放送していたフジやTBSはたまったものじゃない。次第にどの局もレギュラー放送は期末3週で店じまい。特に12月は2週目で店じまいなんてことになってきたわけです」

 そういえば、かつては大晦日や正月に、スペシャルドラマを放送していた頃もあった。12月30~31日に放送した「年末時代劇スペシャル」(日テレ:85~90年、註:91~93年は2日間ではなくなる)や、1月2日の「12時間時代劇」(テレ東:81~00年、註:01年以降は12時間でなくなる)も恒例だった。

「年末年始は時代劇が定番でしたね。しかし、時代劇は金がかかる。バブル崩壊後は時代劇も減っていきました。そして、年末年始はバラエティばかりになっていったわけです。さらに、血で血を洗うような視聴率戦争が一段落すると、そのバラエティも粗製濫造が目立つようになってくる。安っぽいバラエティよりも、真面目に作られたドラマのほうが見応えがあると感じるのは当然です。そこでドラマが改めて復権しつつあるのだと思います」

 キムタクドラマの勝因はそこだったのか。

「もちろん、ドラマなら何でも見られるというわけではない。『3年A組』や『あな番(あなたの番です)』(いずれも日テレ)のようにSNSから跳ねるドラマもあれば、新木優子の『モトカレマニア』(フジ)のように見向きもされなくなるドラマもあって、二極化が進んでいます。『グランメゾン』は話が単純でつまらないという声も少なくありませんが、TBSの老舗ドラマ枠“日曜劇場”ですから、しっかりと作られていました。料理も旨そうに撮られていましたしね。ミシュランの3つ星を取るというわかりやすいベタなストーリーは、途中からでも見ることができた。ですから29日の放送がまんまとはまって、高視聴率が取れたわけです。また、TBSは昨年の正月2日には『下町ロケット特別編』を放送して14・0%と健闘しました。その手応えで、今年は『ギボムス』に至ったのだと思います。キムタクの『教場』はコメディ色がなく、かなりシリアスに作られていて、バラエティの食傷気味の視聴者に見られていたと思います」

週刊新潮WEB取材班

2020年1月11日掲載

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