少年野球チームがなぜか都有地を独占使用、顧問は萩生田光一文科相 口利き疑惑浮上

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トンネル貸し

「あの土地に関して、我々が賃貸借契約を結んでいるのは、鑓水町会長を代表とした協議会です。ですから、契約相手は町会長になります。賃料もすべて町会協議会が支払っており、八王子リトルシニアからもらっているわけではない」(八王子市教育委員会スポーツ施設管理課の担当者)

 ちなみに18年度、土地の賃料として市が都に払ったのは、約335万円。市がどこからいくら受け取っているかは、現在、本誌(「週刊新潮」)が情報公開請求中である。

 八王子市の説明によれば、鑓水町会長を代表とする八王子市鑓水球場運営協議会なる団体が市に賃料を納めていなければならないが、現在の鑓水町会長に件の契約について尋ねると、

「いや、うちの方からは全然そんなのは」

 さらに、土地を借りているという意識があるかどうか問うと、

「ない、ですね……」

 と首をひねる。町会の理事会で球場が議題になったこともないという。

 一体どうなっているのか。不可解な謎の「答え」を提供してくれたのは、前任の鑓水町会長だった。彼に、鑓水町会が市に土地の賃貸料を払っているのかどうか聞いてみると、

「いやいやいや、そんなことない」

 と、否定した上で、

「実際は東京都の土地で、それを市が借りて、リトルシニアに貸しているんでしょうけど、市としては『町会が間に入って下さい』と。それで町会が名前を貸すというかね」

 そう語り、“名義貸し”であることを認めたのだ。つまり、市がリトルシニアに直接貸すと「特定の団体」だけを利することになるので、鑓水町会を“かませた”というわけだ。

「これは役所が時折使うスキームで『トンネル貸し』と呼ばれるやり方です」

 さる地方自治体関係者はそう解説する。

「今回の場合、トンネルに当たるのが鑓水町会。実際には、八王子市とリトルシニアが貸借関係という線で結ばれている。そこに鑓水町会というトンネルをかませることで、その線を見えなくしてしまうのです」

 疑問はまだある。八王子市はなぜこうした込み入った細工をしてまで、件の土地をリトルシニアに貸さなければならなかったのか。

「萩生田大臣からのオーダーを実現するために、市役所が知恵を絞っておかしな形態をとったのでしょう。鑓水町会やリトルシニアは市に言われるがまま手続きしたのだと思います」(地元に詳しい政界関係者)

 本来、どうやっても無理なものを可能にする。そこで萩生田大臣の力が働いたのであれば、行政を歪め、食い物にしたと批判されても仕方なかろう。

(2)へつづく

週刊新潮 2020年1月2・9日号掲載

特集「『安倍内閣』の爆弾! 『文科大臣』が行政を食い物にする『萩生田球場』」より

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