肉体関係をせまるモンスター社長も…外国人労働者を搾取する特定技能制度の問題点
搾取を悪化させる特定技能制度
斉藤氏は、「特定技能制度は、日本の受入れ企業による技能実習生への搾取を加速させる危険性が高い」と警鐘を鳴らす。
「外国人労働者を受入れている企業の中には、日本人の労働者が寄り付かないような低賃金で重労働なブラック企業もあります。技能実習生たちの中には、少しでも日本でお金を稼ぐため、また特定技能のビザ欲しさに我慢して働き続けている人もいるのです。うまくすれば技能実習生で3年または5年、さらに特定技能1号で5年と、計8年または10年働くことができますからね」
ブラック企業に勤める技能実習生は、導入された特定技能を取得し、早く転職すればいいのではないのだろうか?
「いえ、特定技能ビザを取得するためには試験に合格するのが原則ですが、取得できる人数枠はあらかじめ決められているんです。であれば、技能実習生は、耐えてでも、満期までの3年間または5年間を同じ職場で働き続けたほうがいい。満期まで働いた技能実習生は、特定技能の試験が免除され、特定技能の資格が得られる。言い換えれば技能実習生たちが日本で働き続けるためには、どんなにブラックな職場でも3年または5年、文句を言わずに我慢し続ければいいわけです」
そもそも同業種内での転職が可能と謳う特定技能であっても、実際にはそうはならない現実があって、
「外国人労働者が、技能実習から特定技能に移って転職しようとした場合、元居た会社の“推薦状”(評価調書)が必要になります。しかし、職場の労働環境に嫌気が差して転職をする場合、往々にして職場との関係が悪く、推薦状を出してもらえないことがありえます。そもそも、特定技能の対象となる業種の団体の多くは、外国人労働者の転職に否定的です。日本人の労働者が定着しないからわざわざ外国人を呼んで育てたのに、彼らに逃げられてしまったら元も子もない。そのため、“悪質な引き抜き行為を禁止”を名目とした、転職を縛る動きがあります。何が“悪質”に当たるのか、明確な基準は設けられていないにも関わらず、です」
転職の自由は認められているものの、実際は高いハードルに阻まれている外国人労働者たち。さらに、こんな理不尽なケースもあるそうで、
「外国人労働者たちには、会社に何か文句を言おうものなら、最悪、帰国させられてしまうリスクがあるのです。もちろん、その場合には本人の了承を得、書類にサインをする必要があります。ただ、それも会社が『新しい会社を紹介する』とウソをつく、あるいは脅したりして無理やり一筆書かせることもあるわけです。強制帰国を請け負う警備会社まで現れています」
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