肉体関係をせまるモンスター社長も…外国人労働者を搾取する特定技能制度の問題点
偽装難民に対処しつつ労働力はほしい安倍政権
一昔前の日本の入管法は、しばしば“ザル法”と揶揄されることも多かった。というのも、2010年当時の民主党政権が、それまで難民認定の申請後一定期間を経た外国人のうち、生活困窮者に対して優先的に認めていた就労資格を、全ての申請者に「一律」に認めるよう見直したためだ。これによって、技能実習や留学生制度を利用して来日した外国人たちが、事実上、難民申請を繰り返せば半永久的に日本で働き続けられる状態となったのだ。いわゆる「偽装難民」問題である。
だが、安倍政権になってからは一変。明らかに難民に該当しない外国人の在留は認めないこととなった。同時に“労働力”として外国人の受け入れ拡大を目指しているのは先述したとおり。18年12月に「出入国管理法改正案」が成立し、今年4月にはこれまでの「技能実習ビザ」とは別に、介護や外食産業、建設業、農業など14業種を対象とした「特定技能ビザ」という新たな在留資格が創設された。
この特定技能制度が、外国人労働者のブラック労働を加速させる要因なのだが、まずは、その仕組みについて簡単に説明しておこう。
特定技能ビザを取得するためには、外国人は「特定技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格する必要がある。またこれには「1号」「2号」と2段階のランクがあり、平たく言えば前者は単純労働者、後者は熟練した技能を持つ現場監督などに与えられる。1号の在留期間の上限は5年だが、2号なら更新条件を満たす限り日本に居続けられるのだ。(ただし2号の対象は建設業と造船業の従事者のみ)
たとえば従来までの技能実習制度(最長5年)を終えた後、特定技能の1号を取得できればさらに5年、つまり合計10年間を日本で働けるというわけである。さらに、これまでの技能実習制度では「転職(職業選択)の自由」が認められていなかったが、特定技能ビザの取得者には同業種内での転職が可能となった。
[2/4ページ]