IR汚職で逮捕の秋元司議員が披露していた土地錬金術 口銭稼ぎの達人は単なる守銭奴
参院議員の隠し子だった紺野容疑者
話を秋元容疑者が逮捕された時期に戻そう。贈賄側として「500ドットコム」顧問の紺野昌彦容疑者と仲里勝憲容疑者の名前も報道されたが、篠原氏は以前から両容疑者の芳しからぬ評判を耳にしていたという。
「率直に申し上げますが、両容疑者は地元の関係者などから『詐欺師のような人たち』と囁かれていました。例えば仲里容疑者ですが、13年の浦添市議選では1173票で初当選しました。しかし17年の市議選では978票で落選してしまいます。市議として4年間を真面目に尽力したならば、ここまで票数が落ちるでしょうか。浦添市の有権者が下した判断から、仲里容疑者の“実像”が浮かび上がってくると思います」
贈賄の共犯として逮捕された紺野容疑者に関しては、ニュースサイト「JB press」が1月1日、「IR疑惑・逮捕の紺野昌彦に沖縄で『詐欺師』の悪評」(上原由佳子氏の署名原稿)という興味深い記事を掲載している。印象的な部分を引用させていただく。
〈逮捕前の紺野はFacebook上で、中国でおこなわれたド派手なパーティーの写真や、札束や銀行の預金額などの写真をしばしばポストしていた。私は数カ月に1回程度はキャバクラ嬢として働いている、貧しきシングルマザーのライターなので、自分のFacebookのタイムラインのなかで紺野の投稿はかなりの異彩を放っていた〉
インターネットで画像検索を行ってみると、札束を握りしめて笑顔を浮かべる紺野容疑者の写真が多数、表示される。下品の極みと言っていいだろう。
また文春オンラインは12月26日、「秋元司議員、収賄容疑で逮捕 “カジノ疑惑”のキーマンは国会議員の隠し子だった」の記事を掲載した。
文中で、紺野容疑者の父親が日本維新の会の室井邦彦参議院議員(72)[比例区]だと指摘、室井議員本人も取材に対して「若い頃に認知した息子であることは事実です」と認めている。
元浦添市議だった仲里容疑者を、擁護する声もあるのは事実だ。沖縄タイムスは12月26日(電子版)で「逮捕の1人は元浦添市議 IR贈収賄事件 『とことん頑張る姿が印象的だったが…』」と報道した。これも一部を引用させていただく。
〈仲里容疑者の周辺は「(仲里容疑者の)市議選の出発式で紺野さんが人を集めるような間柄だった」と語る。別の関係者は「紺野さんの影響でIR誘致活動に踏み込むようになった。(逮捕は)巻き込まれた形ではないか」と話した〉
その仲里容疑者だが、自身のツイッターで、次のような経歴を紹介している。
〈1972年沖縄県浦添市生まれ/仲西中→興南高校→関西学院大学社会学部→青山学院大学大学院中退/大和証券系ベンチャーキャピタルで投資業務。2002年外食企業株式上場準備担当者として上場果たす(現 東証1部)〉
支援者が弁護したくなるような一面も持っていたのかもしれないが、だからこそ「札束を持って笑顔の写真」をSNSにアップするような紺野容疑者と交際していれば、普通の有権者なら眉をひそめて当然だろう。
特捜部の捜査は、どこまで伸びるのか?
読売新聞は1月3日、「『衆院5議員側に500万円』…IR汚職 中国企業側がメモ」の記事を掲載した。
このスクープ記事で読売新聞は、いずれも衆議院議員の中村裕之氏(58)[北海道4区]、岩屋毅氏(62)[大分3区]、船橋利実氏(59)[比例北海道]、下地幹郎(58)[比例九州]、宮崎政久(54)[同]の5人に資金が提供されたと報じた。
防衛大臣を務めた岩屋衆院議委員の名前にインパクトがある。TBS(電子版のTBS NEWS)も1月3日、「秋元議員以外の5議員を任意聴取、“現金”複数が認める」と報じた。
これに対して、FNN(フジテレビ系:電子版)は1月4日、「国会議員相次ぎ疑惑否定 IR汚職事件」とも報じた。今後、どれだけ司直の手が政界に伸びるのか注目される。
また今回の逮捕によって、全国でIR誘致に反対する世論が盛り上がる可能性は高いと考えられる。県民から逮捕者の出た沖縄県ならなおさらだ。
「もともと私はIR政策には批判的でしたし、特に沖縄県でカジノ営業を許可すると、貧困問題がさらに拡大すると考えています。沖縄県も一応はIR誘致に消極的でした。しかし、IRをめぐる贈収賄の舞台が沖縄だという事実は、中央政府の利権に依存する関係者が存在し、国の補助金頼みの経済構造が続いていることを示しました。どうやって沖縄が本土から自立した経済を構築していくのか、改めて県民の熟慮と決断が求められていると思います」(同・篠原氏)
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