「田舎移住の男性」に地元コンビニオーナーが唾を吐く それでも問題にならない不条理
客より偉いオーナー
都会と違って、地方の集落でコンビニを経営する場合、地縁・血縁と無関係ではいられない……。この指摘を、あなたは信じるだろうか。以下にご紹介する、田舎暮らしの男性が語るコンビニオーナーとのトラブルは、まさにそれを裏付けるような話である。
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田舎の地元民は相手の顔を見ただけで、あるいは苗字を聞いただけで、地元民か移住者かを一瞬で見破ってしまう。これは事実だ。
そんな人間関係の中で、もし“地域の顔役”がコンビニのオーナーだったら、客はどんな態度を取るべきだろうか。この問題は、移住先として人気が高く、都市出身の人間が多く住む土地でも変わらない。
今年、山梨県に移住して8年目になる高垣祐介さん=仮名=(41)は、田舎特有の人間関係に激しく悩まされた。しかもその舞台は、全国チェーンのコンビニ店だったのだ。
事件が発生したのは5月。彼は県北西部に住み、タイル職人として働いていた。日課は出勤前に自宅近くのコンビニでコーヒーを買うこと。そしてコンビニのオーナーの夫は“地元の顔役”であり、妻も生粋の地元民だった。
高垣さんがコーヒーを買えば、「ありがとうございました」と礼は言う。しかしながら、向こうは地元民であり、こちらは移住者だ。おまけにオーナーの夫は、地元フットサルチームに所属するなど顔が広い。いわば“地域の顔役”なのだ。そのためオーナー夫婦の前では、どうしても恐縮してしまう。
「高速のインターそばまで行けばスーパーがあることはあるんです。とはいっても、結局この地域で商店の数なんて、たかが知れています。商店の経営者は誰もが地元の顔役ばかり。どこで買い物をしても、何をどれだけ購入したか、完全に筒抜けです。コンビニでも集落の共同商店と変わりませんから、あそこでの買い物は気を遣います」(高垣さん)
周囲に商店など、ほとんどない地域に建つコンビニ。そのオーナーともなると、「お前らに売ってやってるんだ」と腹の底では考えていることを高垣さんは見抜いていた。
「オーナーは地元民の中でも優位に立っているわけです。住民の誰もがコンビニの問題点に気づいていましたが、誰も文句は言えなかったんです。それほどの“顔役”でした」
例えば、コンビニの入口にある自動ドアは、センサーが以前から不具合を生じていた。ドアが閉まり始めると、客が出ようとしても入ろうとしても止まらない。そのままドンと身体にぶつかってしまう。高垣さんも肩などを挟まれたことが何度もあった。
ある日、高垣さんが我が子とコンビニで買い物をした際、再びドアに手を挟まれてしまった。遂に我慢が限界に達し、県内の支社に苦情を伝えた。
こじれたのは、そこからだった。自動ドアのセンサーが不具合だということは、支社の営業担当者自身も経験していたし、店舗のパート従業員も把握していたのだ。しかしながら、誰一人として改善しようとはしていなかった。
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