北海道胆振東部地震は「人造地震」だったのか 日本ではタブー視され研究が進まないワケ

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地震兵器とは別物 お上は研究に消極的

 人造地震と似た言葉に「人工地震」なるものがある。これは人工的に振動を起こして地球の内部を調べる手段のことで、すでに地震学の用語として定着している。

 この人工地震、言葉の響きゆえか、人工的に地震を引き起こして他国に被害を与える、いわゆる「地震兵器」とも混同されがちだ。東日本大震災の際にも、一部で「人工説」および「陰謀説」が囁かれていた。そして「人造地震」もまた「地震兵器」と一緒にされがち。地震大国であるがゆえに地震兵器などの与太話が浸透し、結果、人造地震は普通の学者が相手にしないテーマになりつつあるというのだ。

 島村教授も、

「人間が巨大なエネルギーを正確にコントロールすることなど不可能。地震兵器なんてものがありえないのは言うまでもありませんが、人造地震もこれと混同され、社会から無視されているのでしょう。一方、欧州や米国などでは人造地震の研究が進んでいます」

 また、地震大国ゆえの“弊害”はほかにもあって、

「日本のように普段から地震が多い国では、自然に起きたものか、人間の活動によって生じたものか、地震発生直後では学者にも判断がつきません。その点、多くの国々では地震が珍しいため、検証もしやすい。ただ、人造地震が海外で発生しているのに、日本では起きていないということは考えにくい。だからこそ研究の必要はあると思います」

 そしてなにより、国や電力会社は「人造地震」のリスクが明らかになることにネガティブだ。

「人間の活動によって地震が発生していることが解明されれば、公共工事や資源の採掘、原発、発電用ダムなども見直しを迫られます。日本経済にとってマイナスになる可能性があるため、国や電力会社などは、たとえ人造地震が起きたとしても『自然地震』だと言い張るでしょう」

 こうした背景もあって、本来、人造地震の研究を推進するべき立場の地震学者たちも、お上に“忖度”してしまっているという。

「今の日本で地震学の研究費を出しているのは、国や電力会社、一部の保険会社だけです。まして地震学を学ぶ学生たちにとって、電力会社は大事な就職先です。以前、科学技術庁(現文部科学省)の研究所に所属する学者が人造地震の学会発表をしようとした際、事前に内容を役所に見せるように言われた上、学会当日に役人がわざわざ発表を見に来たことがありました。異例の対応です」

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