北海道胆振東部地震は「人造地震」だったのか 日本ではタブー視され研究が進まないワケ
我々がよく知る地震は、地下の岩盤がずれることで発生する“自然現象”だ。しかし海外の多くの研究では「人造地震」のリスクが指摘されている。地下資源開発やダム建設など“人間の活動”が引き起こす地震を指すが、日本ではこの研究はまったく進んでいない。それどころかタブー視されているという理由について、武蔵野学院大学特任教授で地球物理学者の島村英紀氏に聞いた。
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“過去150年の間に、人間の活動が原因の地震は728カ所で起きた”
これは、アメリカの権威ある科学雑誌「Seismological Research Letters」2017年版に掲載された論文の一説だ。この論文によれば、人造地震が起きた地域の大半では、元々、地震活動がほとんどなかったという。
「人造地震が引き起こされる主な原因は、原油や天然ガスの採掘、油田の掘削、廃液の地下投機、鉱山の発破作業といったほか、地熱発電、地下核実験、二酸化炭素の地下圧入、ダムの建設などがあります」
事例を紹介すると、
「1967年、インド西部でマグニチュード6・3の地震が発生しました。一説によると2千人が負傷とされるこの災害の原因は、同地にその4年前に建設されたコイナダムだというのが地震学者の間では定説となっています。元々、この一帯は地震がほとんど起きない地域でしたが、ダム建設以降に急増し、ダム周辺の特定の場所で、しかもダムの水位が急激に上がったときに限って発生していたのです。
また17年には、韓国南部でマグニチュード5・4の地震が発生し、120人が負傷しました。韓国政府の調査研究団は、地熱発電所が影響したものだと発表。水圧破砕法(地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる手法)で発電所を建設し始めてから、震度2以上の地震が頻発するようになりました。
日本でも疑わしい事例はあります。18年、北海道苫小牧市で、地球温暖化対策として二酸化炭素を地下に圧入する実験(CCS)が行われた際のことです。このときは、マグニチュード6・7、震度7の地震が発生。これによって大規模な地滑りが起き、41人が死亡しました。震度7は北海道では初めての震度で、かつ活断層がないとされる地域でした。アメリカなどでは、二酸化炭素の圧入は地震発生率を高めるリスクが高いと指摘されており、苫小牧の地震もそれが原因だった可能性もゼロではないのです」
こうした人造地震について、日本ではほとんど議論されていないという。地震学者や政治家が言及することもめったにない。「オカルト」のイメージがつきまとうからだ。
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