斎藤佑樹をオープナーで採用… 今年も日ハム「栗山マジック」の“試行錯誤”は続く

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反対のケースも

 このケースとは逆に、オープナーは大成功だったのに、好結果を得られなかったのが、同23日の楽天戦(札幌ドーム)だ。先発・杉浦稔大は初回を3者凡退に打ち取ると、4回表にも茂木栄五郎、オコエ瑠偉、浅村栄斗を3者連続三振に切って取るなど、5回を9奪三振パーフェクトと付け入る隙を与えない。

 ところが、前年右肩痛から復帰したばかりで無理使いできない杉浦が5回限りで降板すると、直後の6回表に2番手・バーベイトが同点弾を許し、9回表に秋吉亮がウィーラーに決勝3ランを浴び、逆転負けを喫してしまう。60球をめどに降板する予定だった杉浦が、65球で効率良く5回まで投げつづけた結果、序盤から準備していたリリーフ陣が継投のタイミングを掴めなかったことが裏目に出た形だ。

 また、7月10日のロッテ戦(ZOZOマリン)では、右足首ねん挫のボルシンガーの代役で急きょ唐川侑己を初回限定のオープナーに起用した井口資仁監督にお株を奪われ、6投手リレーの前に完封負けという悔しさも味わった。そんな試行錯誤の一方で、加藤貴之、堀瑞輝、ロドリゲスらで先発不足を補い、使いようによっては、オープナーも“勝利の方程式”になり得ることも証明されつつある。

 シーズン後、成績不振の責任を取り、「ケジメをつけなければいけない」と辞意を表明した栗山監督だったが、10月2日、畑佳秀オーナーから「ケジメをつけるのであれば、来年勝って、それが責任だろう」と諭され、1年契約に合意。シフトやオープナーについても、「優勝するために必要な戦術であることは間違いない。オレのやり方が甘いのかも。もっと研究するよ」と来季も継続していくことを示唆した。

 球団では歴代最長となる監督9年目の2020年、“栗山マジック”の成功なるかが注目される。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」上・下巻(野球文明叢書)

週刊新潮WEB取材班

2020年1月3日掲載

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