日本製品ボイコットで “韓国版ドン・キホーテ”は自爆? 激戦区でダイソーに軍配
独立した韓国企業が運営する韓国ダイソー
現地メディアでピエロショッピング苦戦の一因と囁かれたのが、昨年7月からの「日本ボイコット」だ。日本製の雑貨を多く扱っていたことから、日本製品不買運動の巻き添えを食ったとの見方が伝えられていた。それならダイソーもボイコットの対象になったのでは、と考える人は多いだろう。だが結局、そうはならなかった。
そもそも韓国でダイソーを展開する牙城(アソン)ダイソーは、独立した韓国企業だ。株式は、親会社の牙城HMPが50.02%、そして日本でダイソーを運営する大創産業が34.21%を保有。同じ「DAISO」のブランドを使うものの、配当金以外のロイヤリティ支払いや経営参加などは行われていないという。
牙城HMPの母体となったHMPは、1988年から大創産業に生活用品などを納入して協力関係を構築してきた。1992年に牙城産業を設立、1997年に生活用品店「ASCO EVEN PLAZA」をオープン。その店名をダイソーに改めたのは、大創産業側の投資を受けた2001年のことだ。発音が韓国語の「全てある(タ イッソ)」に通じることから、日本と同じ名前が韓国でも自然に受け入れられた。
牙城ダイソーの韓国国内店舗数は、現在約1300。売上高は2007年の1180億ウォン(約111億円)から2018年は1兆9786億ウォン(約1860億円)と、好調な成長を続けている。取扱い商品は、7割が韓国製。2018年の海外輸出は7200億ウォン(約680億円)に上り、自国経済への貢献度も高い。
「ダイソーの代わりになるブランドがない」
それでも日本とのつながりが深い牙城ダイソーは、韓国でしばしば「日本企業疑惑」が取り沙汰されてきた。2013年には竹島(韓国名:独島)問題を巡り、ダイソーが「『独島』を『竹島』に改める運動の後援企業」という妙な噂がネットで流れ、牙城ダイソー(※当時はダイソー牙城産業)が釈明を余儀なくされた。同社はその後、韓国の竹島関連団体への支援や協力をアピールしている。
昨年7月からの日本ボイコットに際しても、韓国のダイソーが韓国企業か日本企業かといった話題が現地メディアで関心を集めた。そんななかダイソーの不買を呼びかけた大学教員などもいたが、市場に影響を及ぼさなかったのは前述の通りだ。現地通信社ニュースピムは、次のような消費者の声を伝えている。「ふだんから愛用しているので、(ダイソーに)行くのを止めるわけにいかない。価格面で代わりになるようなブランドがない」(2019年8月23日付)。消費者の支持をしっかり掴む韓国のダイソーは、余計な雑音に左右されず堅実な成長を続けているようだ。
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