「中国」「インド」産のジェネリック薬が危ない 発がん性物質が検出も

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医者が飲まない「ジェネリック薬」(2/2)

 ハンバーグにたとえれば、肉は同じでもつなぎやこね方が異なる――ジェネリックと先発薬の違いについて、薬剤師の堀美智子さんはこんなふうに例える。たとえ主成分の特許が切れても、添加物や特殊なコーティング技術などの特許が残っているため、真似できない部分があるためだという。さらにジェネリックには、効き方の点以外にも問題があるのだ。

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「ラニチジンは、胃潰瘍や逆流性食道炎などの患者さんに処方される、胃酸の分泌を抑えるポピュラーな胃薬ですが、発がん性物質のNDMAが検出され、大きな問題になっています」

 と、新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が話す。

「9月に、日本の厚労省に相当するアメリカのFDAが発表しました。アメリカの製薬会社は回収に踏み切り、日本でも、厚労省が製薬会社に成分の分析を依頼したところ、複数の製品からNDMAを検出。11の製薬会社が回収に踏み切りました。それらは先行薬とジェネリックにまたがっていますが、ジェネリックの割合が高まっている以上、ジェネリックに絡んだ問題だといえます」

 薬に発がん性物質とは穏やかではない。原因はなにか。岡田医師が続ける。

「どういう経路で汚染されたのか、まだわかっていませんが、かなり不潔な環境でラニチジンが合成されていた可能性が高いと思います。NDMAは食べ物や水、タバコの煙などに含まれるニトロサミンの一種。環境中にありふれた物質なので、水が精製されていなかったり、空気がほこりっぽかったりすれば、容易に混入しますが、清潔に管理していればまず混入しません。実は昨年も、ポピュラーな降圧剤アンジオテンシンII受容体拮抗薬から、NDMAが検出されています。中国で製造された原薬から検出され、世界的に問題になり、日本でも1社のジェネリックが回収されました」

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