「グランメゾン東京」はなぜ異例の全11話になったのか 最終回の期待と不安
最終回を一桁にはさせない!
その第9話の後の次回予告で、「最終回前スペシャル」と告知された。これでようやく最終回は29日放送の第11話であることが判明した。
「近頃の連ドラは全10話がほとんどですから驚きました。日曜劇場だって全11話は、なかなかないはずです」(同・民放ディレクター)
昨年10月期の「下町ロケット」(主演:阿部寛、平均13・6%、最高16・6%[最終回])が全11話だったが、これは15年に放送された前シリーズ(平均18・5%、最高22・3%[最終回])が好調だったからだろう。おまけに今年1月2日には特番まで放送されて、実質的には全12話と言ってもよい。
その前となると、15年4月期の「天皇の料理番」(主演:佐藤健、平均14・9%、最高17・9%[最終回])が全12話だった。このドラマは80年(全19話、主演:堺正章)、93年 (全12話、主演:高嶋政伸)にも放送されたTBSのお家芸ともいえる作品である。そうそう短くもできなかったのだろう。
「かつては1クール12話とか放送していましたが、今ではほとんどありません。そんな中で、いくらキムタク主演だからって、『グランメゾン』は人気シリーズでもないのに、いきなり11話とは思い切ったことをするなと思いました。そもそもスタートしたのが、他局のドラマが出そろった後の10月20日。それで11話も放送するから最終回が29日になってしまうんです。もっとも、そこにはTBSのある計算があるそうなんです」(同)
TBSにはどのような作戦が?
「10話と同じ22日には『M-1グランプリ』(朝日放送制作/テレビ朝日系列)が生放送される。それをかなり意識しているんです」(同)
はあ?
「今年は、雨上がり・宮迫博之たちの闇営業事件やチュート・徳井義実の税金の無申告など、別の意味でお笑い界が世を騒がせたこともあり、お笑い番組の視聴率がいいんです。なかでも『M-1』は、年1回の大イベントであり、今年は例年以上に高視聴率を取るはずだと。多くの人は『M-1』を生で見て、ドラマは録画するだろうというわけです。確かにそうだろうと思いますが……」(同)
昨年、霜降り明星が優勝した「M-1」が放送されたのは12月2日だった。「M-1」(19~22時)の視聴率は18・8%で、「下町ロケット」は11・5%とシリーズ最低を記録している。
「『グランメゾン』の最終回が一桁で終わる可能性もある。それを心配したそうなんです」(同)
TBSの編成が?
「いやいや、TBSじゃなくてキムタク本人らしいです。彼にとっては久しぶりの連ドラ、しかも日曜劇場で、自分のドラマが一桁の最終回で終わることだけは避けたい、と。まあ、評判がよかったり名作と言われるドラマは、尻上がりに数字が上がっていくものですからね。日曜劇場だって高視聴率作品のほとんどが、最終回が最高視聴率になっています。それに俳優にとって視聴率は通知表のようなものですから、最終回で数字が上がれば、まだ伸びしろがあるように感じますし、次の作品にキャスティングされやすくもなります。逆に数字が悪ければ、その後に主演のオファーがなくなることだってある」(同)
先に紹介したドラマの多くも最終回が最高視聴率を上げている。とはいえ、いくらキムタクでも、一介の俳優が番組編成に口を出すなんてことができるのだろうか。
「にわかには信じがたいのですが、日曜劇場では数々の功績のあるキムタクですから、無下に断ることもできなかったというんです。彼からの強い希望によって『グランドメゾン』の1話延長が決まったと……」(同)
だが、29日と言えば、年末特番も多いはずである。
「誰だってそう思います。TBSの編成内では、本当にこれで大丈夫か、という声まで出ているそうです」(同)
12月29日、TBSは「グランメゾン東京」(21~22時半)の前に、“木村派”を自称する明石家さんまの「ご長寿グランプリ」(18~21時)を組み、その勢いを付けて有終の美を飾ろうという作戦らしい。
だが、この日、日テレは「キャスター&記者1000人が選んだ!令和ニッポンの瞬間映像20」(21~23時半)、テレ朝は「ポツンと一軒家2時間SP」(20~22時)、テレ東だって「警察密着24時」(18時半~22時)と「モヤモヤさまぁ~ず2年末スペシャル」(22~24時)の二段構え、フジも「救命救急24時」(19~22時)で迎え撃つ。
果たして、どんな結果になるのやら。
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