2019年「セブン、ファミマ、ローソン」の明暗、2020年に待ち受けるコンビニ「2つの課題」
昭和に生まれ平成に盛隆を極めたコンビニは、令和を迎えた今年、さまざまな問題に直面した。ときには本部から店への“圧”が明るみに出るなど、ブラックな側面もチラリ……。2020年、あるべきコンビニ像とは。
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ネガティブなニュースが目立ったコンビ二業界の2019年だったが、そんな中でも、喜ばしい変化はあった。このたび『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)を上梓した流通アナリストの渡辺広明氏に、3大チェーンの2019年を振り返ってもらおう。
まずは4月に発表した新感覚スイーツ「バスチー」が3日で100万個の売上を記録し、昨年の「悪魔のおにぎり」に続いてヒットを生み出し続けているローソンについて。
「どんなに接客がよくても、どんなに店が便利な場所にあっても、棚に並ぶ商品に魅力がないことには始まりませんからね。ヒット商品を生み出し続けている点は素晴らしいです。かつローソンは、『セルフレジ』の導入が3大チェーンの中でもっとも進んでいます。ローソンは2010年から取り組み始め、2019年2月に、新型POSレジの全店導入を達成しました。新型レジの何がすごいかというと、店員が打つ“有人モード”にも、“セルフモード”にも、どちらにも切り替えられる点です。しかも新型レジでは、外国人従業員でも操作がわかりやすいよう、中国語、ベトナム語、ネパール語の多言語に対応しています」
厚生労働省が2019年1月に発表した最新の数字によると、日本の外国人労働者数は過去最高の146万人を突破。いまやコンビニのレジに外国人店員がいることも当たり前の光景だが、ゆえに生じたトラブルもあった。そんななか“神対応”を見せたのが、ファミリーマート(以下ファミマ)だった。
「3月、新宿・ゴールデン街のファミマに掲示されていた貼り紙が、SNSで話題になりました。〈特定のお客様から人種差別と言わざるを得ない発言がありました〉とはじまるもので、いわゆるヘイト発言に抗議する内容です。外国人労働者はレジを適切に打てるし、態度の悪い客にもしっかり対応するなど、なかなか優秀です。ただ、先のローソンが多言語レジを導入したことからもわかるように、店頭に立つには相当の日本語スキルが必要。外国人技能実習制度の対象に、コンビニ運営を入れる動きもあったほど。今年は追加が見送られてしまいましたが……」
そんなファミマの対応の良さは、食品ロスに対しても同様だった。4月には食品ロス対策として、おせちや大型クリスマスケーキなど季節商品の販売を予約制にすると発表。土用の丑の日の「うなぎ」では、店頭販売を希望した店舗を除く70%の店舗で完全予約制が実施され、結果、販売額は20%減少したものの、利益は70%も増加。廃棄費用が減ったので、利益を大きく伸ばしたのだ。
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