「青梅殺人事件」被害者が同窓会や病院の待合室で見せびらかしていた「1億円」

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 札束がいかに磁力を持つかの証左である。東京都青梅市の自宅で殺害された小川和男さん(67)は生前、1億円の入ったアタッシュケースを見せびらかしていた。周囲の人は当然、釘付けとなって……。

 現場はかつて林業の盛んな地域として知られ、江戸時代、そこで伐られた木材は川から江戸へと運ばれていた。その流域の一軒家に赤いサイレンが明滅したのは、今月14日未明のことだ。

 警視庁担当記者の解説。

「遺体が発見される直前、本人から110番に“寝ていたら音がして男が逃げた”と通報がありました。警官がかけつけると、自宅で倒れていたのです」

 地元出身の小川さんは、運送会社に勤めるも定年退職。10年ほど前に母と死別し、1人で暮らす身だった。

 近隣住民は、

「地元中学を出ると、テスターを組み立てる会社に就職。ラジコンや音楽が趣味で、今でも自宅にはヘリコプターなどの高そうなラジコンと20本ほどのエレキギターがそろっていた。自宅の増築も行っていて、自分で足場を組んでいました」

 平穏な日常を脅かされたのはなぜだったのか。

 小中学校の同級生の証言。

「4年前に居酒屋を借り切って同窓会をしたら、彼は初めて出席したんです。すると、銀色のアタッシュケースを持ってきて、“中に1億円入っている”と言いだして。見ると大量の札束が帯封されて並べられていて、びっくりしました。持たせてもらうと10キロ以上はある。しかも、着ていたジャケットの両胸ポケットにもそれぞれ100万円が入っていた。参加者は30人程度で、それほど大きい金額ではなかったのでしょう、会計も彼が全額払いました」

 手にも札束、胸にも札束ではさすがに不用心である。で、その大金の出処は、

「小川くんは“昔、都心で飲食店などの商売をしていた”と言っていました。加えて、競馬で3千万稼いだとか、競艇で当たったなんていう噂も」(同)

 よほどうれしかったのだろう。近隣ではこんな場面も目撃されていた。

「病院に行くときもアタッシュケースを持っていて、待合室で会った人にまで中身を見せびらかしていたそうです」(別の同級生)

 事件後、アタッシュケースと現金は自宅から見つかっていない。警察はすでに実行犯3人をほぼ割り出し、他に共犯がいないか調べているという。

週刊新潮 2019年12月26日号掲載

ワイド特集「この世界の片隅に」より

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