紙と電子、書籍の話(KAZUYA)

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 近年は出張することが増えたので、回数を重ねるごとに荷物も洗練されていく感があります。

 特に海外に行く場合は移動時間も長いので、何かをインプットしたりアウトプットしたりするのに効果的です。以前は紙の本を持っていったものですが、最近は専ら電子書籍を活用しています。

 紙の本だと、冊数分の物理的な大きさがあるため、カバンを圧迫しますし、何より重い。僕の場合、仕事の都合上パソコンとカメラ、三脚は必須アイテムなので、これだけで結構な負担になり、本の重さを考えると億劫になるのです。

 しかし電子書籍は端末を一つ持っているだけで数千冊の本を世界中どこからでも開くことが出来ます。漫画も普通一度に持ち運ぶことが出来ないような「こち亀」200巻と「ゴルゴ13」194巻を一つの端末で見られるのは魅力的です。

 iPadなどでも見ることが出来ますが、より「紙っぽい」電子ペーパーの端末で読むとさらに読書の充実感が増します。そして目も疲れにくいです。

 電子書籍であれば、重要な部分にマーカーを引いてあとから振り返るのも容易です。紙だと一度引いたマーカーは消せませんが、電子版は消したり付けたりが柔軟にできます。また、紙の本は増えてくると、「あれ? あの本どこだっけ?」と引っ張り出すのが大変になります。一方で電子版は検索が可能なので、作者名やタイトルを入れれば一発です。

 利便性で言えば、圧倒的に電子書籍が上回っていると思います。しかし紙には紙の魅力もあります。

 まず、所有欲を満たしてくれることです。本が増えて本棚が埋まってくると、それだけで部屋のインテリアとして充実感があります。パラパラと本をめくる感覚も電子書籍では味わうことが出来ません。

 紙にも魅力はありますが、やはり衰退は避けられないでしょう。インターネットの発達、スマホなど端末の絶え間ない進化。5G導入を目前に控えて、さらなるネット環境の増進は確実です。

 こういう時代ですから、そりゃ本も新聞も雑誌も売れなくなるわなという感じです。新聞業界も社員の早期退職を募り、経営のスリム化を図っています。お年寄りは慣れ親しんだ紙の方が良いでしょうが、これからの若い世代が急に紙媒体の新聞を読むとは到底考えられませんし、今、舵を切っておかないと将来の経営は相当厳しくなるでしょう。いや、もうすでに遅すぎるくらいかもしれません。

 大手の朝日新聞も本業だけでは厳しく、不動産事業で稼ぎつつ事実上の婚活事業までやる時代です。これは朝日新聞社が運営する安心・安全のサービスだといい、40歳以上のシングルを対象にした交流会を主催しています。

 朝日が運営ということで、「反安倍交流会」をやったら盛り上がるのではないでしょうか。共通の話題は大事ですから、「反安倍」でこじらせた人たちが集まって交流したら、話も合ってカップル成立でしょう。しかしその場合、恋のキューピッドは安倍総理ということになりますけどね。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者69万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2019年12月26日号掲載

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