「未婚のママにも税制優遇」推進した稲田朋美「イメチェン」の狙い

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国民を馬鹿に

 その動きが形になって現れたのは、今月4日。

「この日の税調の聞き取りで、稲田さんが提出した寡婦控除の見直し案は“マル政”、つまり政策的問題として検討する重要項目に振り分けられた。税調の会議室には70~80人の議員が詰めかけましたが、寡婦控除見直しについての聞き取りになると10人近い女性議員が挙手して発言していましたね」

 稲田氏といえば、根っからの保守系政治家という印象が強かったが、

「防衛省の“日報問題”で閣僚失格の烙印を押されて以降、稲田さんは変わりました。LGBTや夫婦別姓の問題についても、これまでは考えられない踏み込んだ発言をしている。今回の見直しも、当初、甘利さんは難色を示していた。最終的に選挙受けする政策として受け入れたのでしょうが、稲田さんが押し切ったというのがもっぱらの見方」

 一見、“美談”にも思える今回の寡婦控除見直し。

 これに、評論家の大宅映子氏は、

「一口に“未婚の母”といっても様々な事情があるとは思いますが……」

 と前置きした上で、

「男の面倒を見るのは御免だと自分の意志で未婚の母になった女性まで、税制で保護してあげる必要があるのでしょうか」

 と首を傾げるのだ。

「国のお金は次から次へと湧き出てくるものではなく、皆で負担しなければなりません。政治家は馬の鼻先にニンジンをぶら下げるように減税をチラつかせ、国民は自分の国を運営しているという意識を失って甘えるばかり。不必要な減税は国民を馬鹿にしていますよ」

 哲学者の適菜収氏も、

「婚姻ばかりが日本の伝統的な家族の姿かどうかはさておいても、現行の法律は結婚を前提にしているわけで、“未婚の母”を救いたいなら、安易な減税ではなく法制度を見直すのがスジ。受けのよい政策で“桜を見る会”の問題から目をそらそうとしているようにしか見えませんね」

 スジを曲げるなかれ。

週刊新潮 2019年12月26日号掲載

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