文在寅政権と韓国芸能界で相次ぐ自殺の関係 「悪プル」「指殺人」がなくならない社会

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「自分の不幸は他人のせい」理不尽な怒りの矛先は?

 一般の若者たちにとって芸能人は憧れの存在であると同時に、妬みの対象でもある。未来予想図を描けない人たちが、時に華やかに見える芸能人をやっかみ、憎しみを覚える気持ちは分からなくもない。

 しかも今年は人気芸能人の性暴力事件や薬物使用等といった不祥事が次々と明らかになり、ファンを大きく失望させた一年だった。中には法を犯しても警察がもみ消したケースさえあった。

 自分たちはこれほど辛く不安な毎日を過ごしているのに、夢を与えてくれるはずの芸能人は楽をして金を稼ぎ、贅沢な暮らしをしている。そう感じた人は黙っていられなかっただろう。愛情と憎しみは紙一重で、韓国人は愛情が深い分、それが憎しみに変わったときの反動が大きい。自分の意にそぐわない芸能人への個人攻撃が始まったとしても不思議ではない。

 フェミニストとして発言し、健康に良くないからと“ノーブラ運動”をしていたソルリは生意気だと叩かれた。ハラは元恋人とのトラブルに加え、親日家であることも批判されていた。また、寝ながら「おやすみ」と書いてSNSに投稿すれば「芸能人は寝ながら金を稼ぐのか」とコメントがつく始末だ。

 カン・ダニエルはアイドルグループ「TWICE」メンバーのジヒョとの交際が発覚し、アンチファンが急増。「歌手活動に集中するべき時期なのに自己管理を怠った」と集中砲火を浴びている。最近では歌手のソン・シギョンも日本で食べた料理をSNSに投稿し、「売国奴」とバッシングされた。新たに攻撃の的となったソン・シギョンは「人々の憎悪を感じる」と打ち明けている。

 このように、ファンが望まない行動をしようものなら容赦ない攻撃を受けることになるのだ。もはや「アンチもファンのうち」などとは言っていられない。

 大学入試の日、文大統領は「最善を尽くしたら夢は必ず叶う」と受験生にエールを送ったが、本当にそうだろうか。そこがヘル朝鮮(地獄と朝鮮を組み合わせた造語)である以上、最善を尽くしたところで夢など叶いそうにないのだが。

 韓国経済が良くなり、社会が成熟しない限り、悪プルや指殺人は決してなくならない。韓国芸能人が心の病を発症したり自殺したりするといったリスクはますます高まるばかりだ。(文中敬称略)

児玉愛子(ライター)

週刊新潮WEB取材班編集

2019年12月24日掲載

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