セブン-イレブンが時短営業で注目の店主に契約解除通知 理由は「日本一クレームが多いから」

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 今年全国で最も有名になったセブン-イレブンといえば、大阪の東大阪南上小阪店だろう。2月、人手不足に悩むオーナー、松本実敏さん(58)が、セブン‐イレブン・ジャパン本部の制止を振り切り、時短営業を開始。これがきっかけとなり、業界の「24時間365日営業」の原則が見直されることになったからだ。ところが、本部は12月20日、松本さんに年末で契約解除すると通告した。いったい、何があったのか。本人に取材した。

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 オーナーの松本氏にとって、契約解除通告は寝耳に水だった。

「16日に、セブンの本部から連絡があったのです。20日14時、顧問弁護士や社員計4人で店に来るというので、てっきり元日に休業することについて何か言ってくるのかなと思っていました」

 と語るのは、松本氏。

「そしたら、いきなり契約解除を通知する社長名の文書を手渡されたのです。理由は、客からのクレームが日本一多いということでした。それから、永松文彦社長に対して僕がTwitterで悪口を言ったことも、契約解除の理由に該当するというのです。どんなクレームがあったのか一つ一つ教えてほしいと言ったら、あまりに数が多すぎて言えないと。契約解除は、時短営業や元日の休業とは一切関係ないと明言するので、全く納得できなかったですね。というのは、僕と一緒に元日を休業すると言っているオーナーに、本部は元日休業したら契約解除すると脅しをかけているのです。結果、元日休業をやめた人は何人もいますよ」

 そもそも、松本氏が2月から時短営業に踏み切ったのは、深刻な人材不足からだった。

「うちの店の近所に大学があるので、学生バイトでやりくりしていました。ところが、昨年、4年生が5人卒業してしまい、昨年5月にはマネージャーだった妻ががんで亡くなってしまった。バイトは深夜勤務が多いとすぐに辞めてしまう。こういう状況では時短営業をせざるを得なかったのです」

 セブン‐イレブンとのフランチャイズ契約では、営業時間を変えることは認められていない。松本氏は本部から営業時間を戻さないと契約解除すると言われ、その場合は1700万円の違約金が発生すると伝えられた。もっとも、そのことがメディアで報道されると、24時間営業に疑問の声が上がり、セブン‐イレブン・ジャパンは、3月に一部の直営店で実験的に時短営業を始めると発表。その後も松本氏は時短営業を続けていたが、契約解除の話は出なかったという。それが、年も押し迫ったこの時期に全く別の理由で契約解除とは。松本氏も納得できないわけだ。

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