「水ダウ」クロちゃんは行き過ぎた演出 視聴者を向いて番組作りをしないスタッフの罪

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トラブルの多いクロちゃんの企画

 最初に注目を集めたトラブルは2015年1月、福袋に関するコーナーで発生した。都内にある100円ショップの福袋を「1つも売れなかった」と放送したが、実は10袋が完売していた。さらに兵庫県内にあるブックオフの福袋について「買うヤツはどうかしている」などと中傷した。

 放送後に番組内で複数回の謝罪を行ったほか、TBSの社長が定例会見でも不適切な演出だったと認め、やはり謝罪を行った。

 次は16年3月、ドラマの「水戸黄門」(TBS系列・1969〜2011年)で使われている印籠が、今でも水戸市で効果があるかを検証するという企画で問題が発生した。

 灰皿のない場所で喫煙していた若者グループに対し、「助さん格さん」役の2人が印籠を出しながら注意したのだが、若者たちは激昂して罵声を浴びせたのだ。

 ところが、彼らはエキストラだったことが判明。これに水戸市は「虚偽」と抗議し、BPO(放送倫理・番組向上機構)に意見書を提出した。BPOは「放送倫理上の問題はない」と結論づけたが、やはりTBS社長が水戸市に謝罪を行った。

 同じ年の5月には、クロちゃんをマンションの一室に監禁。ツイートだけを頼りに居場所を探し当てる企画の撮影が行われたが、ネット上で誤情報が流布。無関係だったマンションが番組に抗議したことから、6月に撮影の中止を発表、謝罪も行った。

 18年5月にはJR恵比寿駅の路上で、お笑い芸人のナダル(34)が連れ去られる様子を撮影。本当の犯罪だと誤解した通行人からの110番通報が相次ぎ、警視庁渋谷署が捜査を開始する事態に発展する。結局、ロケだと把握した渋谷署は番組に対して厳重注意を行った。こちらもTBS社長が定例会見で謝罪している。

 そして昨年12月には、またまたクロちゃんを都内の遊園地「としまえん」で檻に入れた状態で公開。番組で「みなさんぜひとも来てください」「オールナイト、入場無料」などと呼びかけると視聴者が殺到。練馬署などに周辺道路の渋滞や騒音をめぐる通報が相次いだため、企画は中止となった。

 5件のうち、2件にクロちゃんが関わっている。こんな“前科”を持ちながら、今年11月からクロちゃんによる「MONSTER IDOL」の企画が始まったわけだ。テレビ担当記者が説明する。

「16人の候補者を集め、4人に残るまでふるいにかける様子が放送されました。特筆すべき点は、クロちゃんが男性としての下心を全く隠さなかったところです。そもそもクロちゃんのゲスな恋愛観を浮き彫りにした『MONSTER HOUSE』が話題だったため、続編のような格好で『MONSTER IDOL』がスタートしたという経緯があります」

 ちなみに、「MONSTER HOUSE」での罰ゲームが、先にご紹介した「としまえんの檻に、クロちゃんを入れて公開」だった。それこそ「良識派の眉をひそめさせてやる」という逆ベクトルの意気込みがあったのだろうか。

「アイドル誕生を密着して追うはずの企画に、クロちゃんの腐りきった性根も明かされていくわけで、面白い企画であることも確かでした。『オーディション番組のパロディとして最高』と評価する視聴者が存在したことも事実です。とはいえ、『セクハラやパワハラが横行しているだけの企画』と不快に感じた視聴者も少なくなかったと思います」

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