口の中を清潔に、喉を鍛える…「老人の悪友」誤嚥性肺炎との付き合い方

ドクター新潮 医療 肺炎

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“老人の友”

 ゆえに、これらの手法を家庭で活かすことは十分可能なのである。

 喉を鍛えること、何より、口の中を清潔に保つこと。実は誤嚥性肺炎対策は意外とシンプルだ。

「簡単に出来るんです。その第一歩として、まず自分の喉の状態を知ることが大切です」

 とは、介護予防トレーナーの久野秀隆氏。

「例えば、最近食事中や会話中にむせることが多くなったな、という人は食道と気管をわける弁の機能が低下しています。また、食事をしていてもなかなかタイミングがわからず飲み込みにくい、噛み続けてしまうという人は、食道に押し込む舌の機能が低下しているということなのです。数年前の写真が手元にある人は喉仏の位置が変化しているかどうかも見比べてください。昔より下がっていたら筋力が低下している証拠です。半年に1度ほどでもよいですから、定期的に写真を撮ってチェックすることもお勧めです」

 そうしたチェックは他人にも可能だという。

「声の変化が最もわかりやすい。久しぶりに高齢の親に電話をかけたらもごもごしていて、滑舌が悪くなっていた、というのは舌の機能の低下。声がガラガラしていた、というのは、喉の筋力が落ちている証拠。注意が必要な状態であると言えます」

 これらの症状が出始めたら、すぐにケアが必要、というワケである。

「肺炎は老人の友」――とは19世紀末にアメリカの内科医が残した言葉だ。歳を重ねれば、この病と向き合わざるを得ないのは、1世紀以上前から指摘されていた真理。ならば、その“悪友”との付き合い方もしっかり身につけねば、いずれ命を奪われる、なんてことにも繋がりかねないのである。

週刊新潮 2019年12月19日号掲載

特集「家庭でも活かせる! 『誤嚥性肺炎ゼロ』の介護施設は何が違うのか」より

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