梅沢富美男が「厚生労働省“体罰”指針案」を読んで思ったこと
梅沢富美男氏が唱える正論
子育てに一家言ある俳優の梅沢富美男氏にも、指針案を読んでもらった。
「意外に思われるかもしれませんが、僕は体罰反対派です。言ってわからなければ、殴ってもわからない」
と前置きしながら、「ただ」と言葉を継いで、こう意見を語った。
「正解がなく、一筋縄でいかないのが子育て。厚労省の指針案にある例が全部体罰になるなら、いま子育てをしている親御さんたちは、どうしていいかわからなくなるでしょう。子供に暴言を吐き、暴力を振るうのは、言語道断です。ただ、指針案では“友達を殴ってケガをさせた”“他人のものを盗んだ”という場合も、子供を殴ったり、お尻を叩いたりしてはダメだと言いますが、この場合、子供がしたことは犯罪です。躾けが子供をサポートして社会性を育む行為であるならば、人としてしてはいけないことをした子供に、殴られれば痛いと教え、盗みを働いたら罰を受けることを教えるのが、躾けでなく体罰だとするのは、いかがなものでしょうか。度を超すから躾けが体罰になるんです。罰せられるべきは、躾けの範囲をはるかに超えた虐待をするバカ親であって、虐待で死なせた場合の刑罰を重くするのが先ではないかという気がします。指針案が、一生懸命子育てをしている親を縛るものになってほしくないですね」
『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)の著書がある、大阪大学大学院の元助教授で、MP人間科学研究所代表の榎本博明氏も、
「虐待防止のためにすべての親の体罰を禁じる、という論理そのものがおかしい。慈善事業を装った詐欺行為が横行しているからといって、詐欺をなくすために慈善事業をすべて禁止するようなものです」
と言って、こう続ける。
「授業で体罰について、大学生たちと話す機会がよくありました。お尻を叩かれたり、食事抜きにされたりしたという学生もいましたが、それを恨んだり、トラウマになっていたりする学生はいなかった。むしろ厳しく躾けてくれた親に感謝している子が圧倒的に多く、食事抜きのわびしさのなかで、もうこんな悪さはしたくないと思った、と言います。このように、体罰と虐待は子供に与える影響も異なるのに、一緒くたにして論じるのがおかしいと思います」
(2)へつづく
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