日本の読解力が世界15位に急落の元凶は「スマホ」と「文科省」だ
OECDテスト「読解力15位」に急落した「国語」の危機(1/2)
英語がペラペラになってほしい、ノーベル賞を取れる科学者になってほしい――。未来ある子どもたちにそんな姿を望むのであれば、何よりも先に身につけさせなければならないことがある。それは「ちゃんとした」国語だ。読解力の急落という危機の元凶を糺(ただ)す。
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我が子、我が孫がプロ野球選手になりたいと夢見ているのであれば、打撃術がどう、投球センスがどうと言う前に、まず1シーズン動けるだけの体力をつけさせなければお話にならない。
もし料理人を目指しているのならば、和食だイタリアンだと騒ぐ以前に、刃物が怖くて包丁を握れない子は論外である。
億万長者になりたいのであっても然り。何のために金を儲けるのか、その使い道を意識できていなければ、うら若き女優と浮き名を流してポイ捨てにしたどこぞのIT企業創業者のように、1千億円を通帳に記帳して悦に入るという醜態を晒すことになる。
言わずもがな、何事も「基本」や「土台」がなければ、それを礎として「上積み」をすることはできない――。
〈「読解力」続落 日本15位〉(朝日新聞)
〈「PISAショック」再び〉(毎日新聞)
〈読解力 転落ショック〉(読売新聞)
今月4日の各紙には、まさにショッキングな見出しが躍った。前日3日、経済協力開発機構(OECD)が発表した79の国と地域の15歳を対象とした国際学習到達度調査(PISA)の結果によると、2018年の読解力ランキングで日本は15位となり、前回15年の8位から急落したのだ。
読解力、それはすなわちすべての学びの基本にして土台である。読解力が身についていなければ、数学の問題も解けないし、科学の知識も吸収できない。つまり今回のPISAの結果により、日本の教育の基礎が崩壊しつつあることが浮き彫りとなったのである。これは、03年の調査で読解力がその前回の8位から14位に落ちた「第1次PISAショック」以来の衝撃的結果だ。
国の将来を担う若年層の読解力低下。それは大げさではなく「国難」と言えよう。このまま放置すれば、日本に明るい未来が待っているはずはない。
対策を講じるにあたり、大事なのはその原因を分析することである。文科省は、読解力の低下は複合的な要因と分析しているが、真っ先に思い当たるのはスマホやSNSの弊害ではなかろうか。電車に乗ると老いも若きも一心不乱にスマホに見入る光景は、もはや現代日本では常態化している。
まずは認知症などの脳神経疾患を専門とする「おくむらメモリークリニック」の奥村歩院長が解説する。
「スマホは小手先の情報を処理するだけで、深い思考に到達しません。付け焼刃の情報処理を繰り返すだけで脳の活性化にはつながらず、フェイクニュースを信じて騙されるようになってしまいます。スマホ漬けは何も考えず、読解力もない、バカな子どもを生み出すばかりです」
また徳島文理大学の八幡和郎教授も、
「読解力の低下の原因は、スマホやSNSにあると言えるでしょう」
として、こう分析する。
「ツイッターやラインでの短文のやり取りは、本来、俳句や短歌に親しんできた日本人に合っている面があります。必ずしも論理的ではないものの、その行間に意味を込める短歌や俳句の文化がある日本に馴染(なじ)んだ。しかし一方で、ツイッターなどでの短文のやり取りに慣れ過ぎた弊害として、長文の読み書きを敬遠し、読解力の低下を招いてしまったと言えるでしょう」
数学者でお茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏も、
「子どもたちに、新聞を読み、読書をする習慣をつけさせ、活字離れを止めなければ読解力は身につかず、回復しません」
とした上で、スマホやSNSの「罪」を指摘する。
「では、なぜ子どもが新聞や本を読まなくなったのかといえば、スマホを触る時間が増えたからでしょう。事実、日本の中高生らのスマホ保有率は18年に83・8%に達し、約9割がチャットを毎日していて、ひとりでネットゲームをする生徒の割合も他の国に比べて高い。つまり今の子どもたちは、チャットやネットゲームをするのに忙しく、本を読む時間なんてないというわけです」
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