「オバ記者」の八面六臂(中川淳一郎)
先日、国会議事堂の見学に行ってきました。案内してくれたのは自民党衆議院議員・田所嘉徳氏の事務所で働いている野原広子氏(62)です。彼女の人生をこの9年ほどウオッチしておりますが、実に憧れの人生を送っているな、と思うことしきりです。
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野原さんは、本名よりも、「女性セブン」の名物記者「オバ記者」として知られています。体当たり系の企画を同誌が実施する場合はオバ記者が毎度登場します。一言で言えば「豪快なオバサン」なのですが、誰もが「なんか呑気で楽しいオバサンだな……。ちょっとアンパンマンに似てるかな」と思うようなルックスをしています。
実際に会ってみると、「アンタ、最近稼いでるみたいじゃないのよ。アンタ、生き急ぐんじゃないわよ」なんて茨城弁で助言をしてくれます。
「女性セブン」では連載を持つほか、「空中ブランコ体験」「マドンナになってみたい、とマドンナ風メイクをしてマドンナのポーズを再現」「AKB48の『ヘビーローテーション』の振り付けを再現」「自転車で茨城の実家まで帰宅」なんてことをやったかと思えば、突然バイトを開始し、それを原稿にしています。
ホテルのハウスキーピングのバイトをしたり、アマゾンの倉庫でとんでもない距離を歩いたことを報告する。いかにお金を稼ぐのが大変かをしみじみと綴る様が読者から共感されています。
思い出深いのは、伊豆の大富豪の後期高齢者とお見合いをし、そのまま後妻に収まろうと画策する、という企画でした。その連載自体はうやむやの内に終了し、一体何が起こったのかは分かりませんが、今は田所議員の元でバイトをし、同代議士の地元の子供たちのために国会のツアーガイドをしているのです。それでいて、ライターとしての仕事もし続け、原チャリで自宅から国会議事堂へ行き、「女性セブン」の発行元である小学館にも原チャリで行く。私も小学館には週2回行って編集業務をやっていますが、オバ記者との雑談は毎度癒しの時間になっています。麻雀にハマり人生がおかしくなった、みたいなことまで話してくれるわけですよ。
そんな彼女が国会を案内してくれることになったのですが、実はこの日、私は数年に1回来る「突発性鬱病」みたいな状況になっていました。気分はどんよりとし、頭が痛い。効くかは分からないものの、バファリンを飲む。そんな状態でオバ記者のガイドを受け続けたのですが、途中から頭がスッキリとして「ありゃ、抜け出した」という感覚になりました。
とにかくオバ記者と一緒にいると、明るい気持ちになれる。大金持ちなわけでもないし、とびっきりの美人でもないのに、周囲の人々から「野原さん!」と慕われ、裏では「オバ記者」と愛情を込めて呼ばれる。
62歳でも「なんか面白そうだな」ということにくらいつき、自身の人生をライターとしてネタにするその生きざまがとにかくカッコいいのです。
そんなオバ記者を私が一緒に仕事をしているライターのU嬢(40)に紹介したところ、「素敵!」となり、彼女は「小さい(若い)オバ記者」ということで「コバ記者」としてデビューしました。