「松屋」のカレーが390円から100円も値上げ 「鳥貴族」とは異なる“巧妙な手口”
「松屋が炎上した」との報道も
終わりよければ全てよし――人口に膾炙した諺だが、意外にも出典はシェイクスピア。「All's Well That Ends Well」という戯曲のタイトルが由来という。そして松屋におけるカレーの“値上げ問題”も今のところ、この格言通りの展開になっているようだ。
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発端は11月27日の夜。松屋の公式ツイッターが「来週日曜日から松屋の『オリジナルカレー』順次全店終売となります」などと呟いたことに遡る。
松屋のカレーと言えば、牛丼と並ぶ看板メニューだ。このツイートに産経新聞は極めて早く対応した。翌28日の午前0時30分すぎ、電子版記事、「松屋、カレーやめるってよ 牛丼の松屋、公式ツイッターで告知」をアップ。まさに真夜中の速報だった。
《松屋フーズが運営する牛丼チェーン大手の「松屋」が、人気メニューのオリジナルカレーを終売することが28日、分かった。SNS「ツイッター」の公式アカウント「【公式】松屋」で明らかにした。終売開始は12月1日からで、理由は明らかになっていない》(註:引用文はデイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)
ツイートを紹介しただけの記事だったが、反響は極めて大きかった。YAHOO!ニュースのトピックスにも転載。深夜帯であるにもかかわらず、広範な読者を獲得した。松屋のカレーが、一気に“社会的関心事”となったわけだ。
ここで結論を先に申し上げれば、松屋は今でもカレーを販売している。店頭から消えたわけではない。
つまり公式ツイッターが呟いた「終売」は一種の冗談だったのだ。並盛390円のカレーが終了するのは事実だった。しかし、その代わりに「創業カレー」を490円で販売することは決まっていた(いずれも税込価格。以下同)。
しかも、松屋が「2019年12月3日(火)10時より、『創業ビーフカレー』を定番発売いたします」とのプレスリリースを発表したのは11月28日の午前10時。だからこそ、松屋は前日である27日の夜遅くにツイッターで“悪戯”を仕掛けたのだ。
そして、この「創業ビーフカレーの定番化」だが、カレーのリニューアルと言うこともできる。だが、実質的な値上げと言うほうが実情に近い。
値上げがリスクを伴うことは言うまでもない。おまけに近ごろ、消費者の財布の紐は非常に固い。空前の人手不足は進行しているが、実質賃金は伸び悩んでいる。更に消費増税が追い打ちを掛け、節約モードが蔓延している。
こんな社会的風潮の中、松屋は誤解を招くツイートを拡散させ、カレーの値上げに踏み切ったのだ。消費者の非難が殺到し、炎上してもおかしくなかった。
実際、「順次全店終売」のツイートを「炎上した」と報じたメディアもある。11月30日、夕刊フジは「『松屋』カレーで大炎上! ツイッターでの『商品切り替え』告知が『廃止』連想させ…非難の声相次ぐ」の記事を掲載した。
《松屋の公式アカウントは27日夜、ツイッターで「来週日曜日から松屋の『オリジナルカレー』順次全店終売となります」と涙を流した顔文字とともに投稿した。「#松屋は牛めし屋」というハッシュタグとともに「松屋カレーショック」ともツイート。メニューからカレーがなくなると連想させる内容だった。
並盛390円のオリジナルカレーは松屋の売り上げのうち2割を占めるという看板メニューゆえ、「無理です」「令和一ショックです…」などとユーザーの動揺も大きかった。
しかし同アカウントは翌28日に「松屋『創業ビーフカレー』ついに定番化!!」と投稿。要は商品の切り替えだったことから、ツイッターには「紛らわしい」「客を混乱させるでない…」などと非難の声が相次いだ》
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