氷川きよし「男らしさ強いられ自殺も考えた」生きづらい胸の内を初告白
男らしく生きて
美輪明宏さんも、自分と同じ九州の出身で、長崎では“女っぽい”からって色々イジメにもあっていた。そういう話を聞いていたので、昨年から「ヨイトマケの唄」をカバーさせていただくようになったんです。でも、世間が求める「氷川きよし」の姿とは違う。あくまで「演歌の王道」を歩んで欲しい、男らしく生きて欲しいって言われると、自殺したくなっちゃうから、つらくて……。
〈冒頭で彼が口にした通り、幼少期からのつらい体験があったがゆえに、決して公にはしてこなかった内に秘める「自殺願望」を抱き続けてきたと明かす。〉
子供時代は、ナイーブだったし貧乏だったから。自分は生きていちゃダメなんだと思ってしまうくらい、コンプレックスを抱え続けてきた。もちろん、これまで歌わせていただいてきて本当に有難かったんですけど、楽しいと思えたことは正直なかったのかなって。周囲のプレッシャーがあって、期待に応えようと思うほど、体調を崩したり具合が悪くなって、パニックを起こして精神的に落ち込んだりしたので……。
〈年を追うごとに高まる演歌歌手としての評価が、生きる上での重圧として跳ね返ってきていた。だからこそ自分を解放したい。表現方法を巡っては、所属事務所との間で軋轢が生じたと報じられたこともあったが、実際はどうなのだろう。〉
そこは事務所の社長も、“きーちゃんらしく生きていった方がいいね”って言ってくれた。社長は海外で暮らしていたこともあって寛容な人。それはすごく有難いことで、みんなが支えてくれて、本当の自分のことを理解してくれた。ファンの皆さんにも感謝、只々(ただただ)感謝の2文字です。
だから20年経ってようやく歌が楽しいと思えるようになった。今みたいに自分に素直に生きるようになってからはすごく幸せ。自分という存在が裸になっても、私らしく生きていればいいじゃない。より自分らしく生きることが大事で、そうなった時本当に輝けるのだと思う。
とにかく日本中のみんなが、「氷川きよし」ってどこかアレしているけど、ああいう人みたいに生きていけるかも、頑張れるかもって思ってもらえればいい。
今までの苦難も含めて全部をさらけ出し、歌にのせて表現することで、こんな私でもここまで頑張って生きてこられたんだ。そう伝えるのが歌手としての使命。人生の後半は、それを表現していく生き方をしたいなって。
40過ぎてどう生きるかと考えた際、もう世間にどう言われようが、足蹴にされようが、しっかり確信をもって表現していこうと決意した。もちろん、今後もみんなが求める「氷川きよし」もやっていきたいけれど、ひとつの色だけではまとめられない。さまざまな色を出しながら、表現していきたいなって思うんです。
〈嫋(たお)やかな語り口調で、胸に秘めたる「生きづらさ」から脱皮したと明かす氷川。次なる大舞台は20年連続出場となる大晦日のNHK紅白歌合戦だ。果たしてどんな「色」をお茶の間に見せてくれるのか――。〉
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