大塚家具がヤマダ電機に身売り 久美子社長の会見に“社員と株主は気の毒”という声

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情にほだされた?

 なぜそこまでして、大塚家具を支えるのだろうか。

「日経新聞のコラム(12日付・電子版)にもありましたが、山田会長が情にほだされたのかもしれません。会長は久美子社長の父・勝久氏と同い年で、彼にも後継者と期待された娘がいました。しかし、02年、26歳で交通事故に遭い亡くなっています。生きていれば43歳、久美子社長を自分の娘と重ね合わせ、助けてやろうとしたのかもしれません。常識的に考えれば、とても出資しようとは思わないであろう会社なのですから、会長の鶴の一声で決まったのかもしれません。彼は最近あまり表に出ることのなかったのに、今回の会見にはわざわざ出てきた。これも久美子社長を応援したいという気持ちの表れでしょう」(同・関係者)

 会見でも父親のようだった。彼女の肩を持って、マスコミがネガティブな報道をしたことも売上減の一因であるような発言もしていた。

「彼女が父・勝久氏を追い出したときには、新たな女性経営者として持て囃されたんですけどね。マスコミが彼女の元から離れていったのは、言い訳ばかりで実行が伴わなかったからです。自分が完全に実権を握った15年以降、売上は下がり続けたのですから」(同・関係者)

 それでも山田氏は「チャンスを与える」と言っている。

「久美子社長ほど、チャンスを与えられながら、それを活かせなかった経営者も珍しいと思います。つまり、上場会社でありながら、創業者の娘というだけで、09年に社長となりました。それ以外に彼女が抜擢された理由は見当たりません。しかし、そのチャンスも実績が残せずに、14年に解任されます。翌年に返り咲き、株主総会でプロキシーファイトに勝ち、チャンスをくれた父を追い出して、やりたいようにやったものの失敗続き。TKPに出資してもらった10億円も、経営の立て直しには使わず株主への配当にしてしまった。何度となくチャンスを与えられながら、成果を全く残してません。今回の会見を見て、社員や株主が本当に気の毒だと思いました」(同・関係者)

 今回の資本提携のリリースには、出資金の使い途として、来年3月から22年12月にかけて、およそ3年で13億円を広告に使うとある。

「ブランドイメージが毀損したから、広告費をツッコんでイメージアップして、お客さんを呼ぼうというわけです。しかし、大塚家具、大塚久美子氏を知らない人はもはやいないのではないでしょうか。繰り返しになりますが、自分では全く責任を取らないし、非を認めようともしないという姿勢は、今回の会見でさらに強固なものになったかもしれません。お客さんにしてみれば、広告を出せば寄ってくると言われたら、バカにするなと思われかねません。そんなお金をかけなくても、イメージを変えたいなら、“ヤマダ家具”にしたほうが手っ取り早いですよ」(同・関係者)

 そもそも家具店と家電店のコラボに疑問もあるという。

「消費行動として家電店に行くのは、品揃えが豊富であり、値段も安いからです。そこで家具が一緒に買えたら便利だな、と思う人がどれだけいるのか……。山田会長はコラボ店に大塚家具を入れるようになって『以前は5万円の家具がなかなか売れなかったが、(大塚の)10万円や20万円と並ぶと、どんどん売れるようになった』と言っていたのも、なんだか大塚の家具はお客の目くらまし用に置かれているだけのように聞こえました」(同・関係者)

“黒字まであと一歩”と言っていた久美子社長に対して、「子会社としての利益は初年度は当てにしていないが、2年目以降は事業計画を立てていきたい」と言っていた山田氏との食い違いも気になるところだ。

 ともあれ、大塚家具は身売りしたことで、年内のヤマは乗り越えた。

「なかなか修正しなかった業績予想も、提携発表と同じ12日に、ようやく“未定”と発表しました。実質的な下方修正と見ていいでしょう。現金が入りますから、セールはなくし、通常モードに入ると思います。売上が毎月減っている現状がどう変化するのか、注目しています」(同・関係者)

週刊新潮WEB取材班

2019年12月16日掲載

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