八ツ橋は売れないが、地価高騰で人口減少……外国人観光客が増えすぎて京都が滅びる日
世界屈指の観光都市として栄えたイタリアのヴェネチアでは、2000年代から観光客を乗せたクルーズ船の周りに「観光客、帰れ」と訴えるデモ隊が集結するようになったという。旧市街地に観光客が大挙して押し寄せ、市民は日常生活ができなくなり、郊外へと追いやられたからだ。ヴェネチアのオーバーツーリズム(観光地が耐えられる以上の観光客が押し寄せる)と同じことが今、京都で起こりつつある。
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ここ数年、京都を訪れる外国人観光客は右肩上がりで増え続けている。2015年に482万人だった外国人観光客は、3年後の18年は805万人と倍近くに増加した。外国人宿泊客だけ見ると、東日本大震災のあった2011年は52万人、そこからうなぎ上りに増え続け、13年に100万人超、15年には300万人突破、18年は450万人と過去最高を記録している。
2014年と15年には、海外の権威ある旅行誌『トラベル・アンド・レジャー』の人気都市ランキングで京都市は2年連続世界1位に輝いた。もっとも、その反面、京都市内の慢性的な混雑が話題になり、オーバーツーリズムという言葉が聞かれるようになった。
2018年の京都観光総合調査(京都市産業観光局)によると、観光消費額は1兆3082億円と3年連続で1兆円を突破したが、
「今年の4月、衝撃的な発表がありました。日本観光振興協会が宿泊施設の予約状況や稼働率を参考にして予測して出したゴールデンウィークの混雑予想です。外国人観光客は増えているのに、『全国の主要観光地の中で、最も混雑が少ない観光地は京都だ』と発表したのです。理由は、国内客が外国人観光客であふれた京都を敬遠するようになったからです」
と語るのは、12月に『京都が観光で滅びる日 日本を襲うオーバーツーリズムの脅威』(ワニブックス|PLUS|新書)を出版した京都市議会議員の村山祥栄氏である。同氏は、03年に京都市政史上最年少で市議選に初当選、以後5期を務める。本著では、観光客に食いつぶされる京都の現状を詳しく綴っている。
「京都を訪れる日本人観光客は2015年の5205万人がピークでした。それが、16年に4861万人、17年には4619万人、18年は4470万人と、ピーク時から732万人も減少しています。このままでは、やがて4000万人を切るでしょう。観光振興協会の発表は、日本人観光客の減少で、相対的に観光客が減少しているので混雑が少ないと予想したものと思われます。結局、この発表で京都は“穴場”ということになり、京都の宿泊施設は埋まりましたが、京都で起きている異変に気づいた方も多かったと思います」
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