韓国が竹島から最も近い「鬱陵島」を軍事基地化 軍艦常駐で日本を牽制する狙いも…

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「日本の代わりに独島へ」? 竹島訪問者数が増加

「輸出管理」問題を巡る日本ボイコットの影響で、7月以降急減している訪日韓国人観光客。今年10月に日本を訪れた韓国人旅行者は19万7300人、前年同月の57万1176人から65・5%減という極端な減り方を見せた。

 一方で、このところ観光客を増やしているのが、ほかでもない竹島(韓国名:独島)だ。韓国では2005年に上陸制限が緩和され、民間の遊覧船まで就航している。その訪問者数は9月末時点で、前年を上回る22万6825人に達した。日本ボイコットとの相関は分からないが、現地ニュースメディア「EDAILY」はこれを「日本の代わりに独島へ行こう……経済報復を受けて訪問客史上最大」との見出しで伝えている(10月24日付)。

 竹島行きの遊覧船が発着するのが、西へ87・4キロ離れた鬱陵島(ウルルンとう)。竹島に最も近い有人島だ。

 朝鮮半島東岸からは、最短距離で130・3キロ。面積は八丈島よりわずかに大きい72・86キロ平米だ。島内は峻険な山に覆われ、平地はほとんどない。わずかに開けた海沿いの谷間を中心に、9802人(2019年6月末時点)が暮らしている。

 本土から鬱陵島へは複数の港から2400トン級の快速船が就航しており、所要時間は片道3~4時間ほど。ただし航路は波が荒く、冬場を中心に年間100日近く欠航する。昔に比べレジャー客が増えたとはいえ、不便で住みづらい離島という環境は変わらない。ソウル起点では、片道だけで1日がかりだ。

 だがそんな鬱陵島がいま、変貌を遂げつつある。来年7月には、5000トン級の旅客船が接岸できる沙洞港が開港。悪天候による欠航も減ると期待されている。さらに2025年4月には、悲願の鬱陵空港が開港予定。就航するのは50人乗り以下の小型機だが、ソウルからのアクセスがわずか1時間に短縮される。

「軍事基地」に変貌する鬱陵島

 建設費用は沙洞港が約2881億ウォン、鬱陵空港が約6633億ウォン。2つ合わせて日本円で約900億円に上る。韓国政府がこの離島に巨額の予算を支出する理由は、単に住民の利便性や観光振興だけではない。大きな後押しとなったのは、竹島の「実効支配」強化という名分だ。現地大手紙「中央日報」は両施設の建設を、「“日本より早く独島へ行く”、鬱陵島が軍事基地に変身中」との見出しで報じている(2019年10月28日付)。

「軍事基地」というのは、ただの比喩ではない。沙洞港の接岸施設は海軍艦艇用の埠頭400メートル、海上警察用の埠頭175メートル、そして旅客船用の埠頭305メートルからなる。港が完成すれば海軍艦艇1隻、海上警察警備艇2隻が常時接岸可能だという。建設費は、竹島を管理する海洋水産部(省庁の1つ)が62%、国防部(防衛省に相当)が38%を負担している。基本計画が告示されたのは、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2011年だ。

 韓国にとって、鬱陵島に軍艦が常駐可能になる意味は大きい。韓国本土と竹島の距離は、最も近い慶尚北道蔚珍郡の竹辺港から216キロ。海軍の艦艇が竹辺港から急行した場合、4時間かかるという。それに対して日本と竹島は、隠岐諸島から158キロ。韓国メディアによれば、所要時間は2時間50分だ。

「有事の際に艦艇が駆けつけても、日本に遅れを取る」。この点が鬱陵島のインフラ整備を巡る議論のなかで、しばしば強調されてきた。それが沙洞港の開港によって4時間から1時間40分に短縮され、日本に先んじることができるというわけだ。

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