伊調馨パワハラ騒動は何だったのか? 栄和人氏監督に返り咲き

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 なべてメディアは心すべきだが、今日び、取るに足らない揉め事を針小棒大に騒ぎ立てる風潮がある。

 昨年、週刊文春が報じた、伊調馨に対する栄和人強化本部長の“パワハラ”も然り。日本レスリング協会が第三者機関を設置し、調査を行ったが、

「告発にある“パワハラ”は全て却下。認定されたのは、告発に含まれていなかった4点のみでした」

 と協会関係者が明かす。

「それとて、裁判で認定されるよりも広い範囲で判断した結果です。調査書は“どれ一つをとって見ても、小さい、せせこましいというのが正直な感想である”と締め括られていました」

 蜂の巣をつついたような騒ぎも、今思えば大山鳴動して鼠一匹というほかない。

 ただ、栄氏は“騒動”の責任を取って本部長職を自ら辞した。2カ月後、彼は至学館大監督を解任されたのだが、それは、キャバ嬢との焼肉同伴デートを「FLASH」に暴露される直前だった。

 以上が“騒動”の顛末である。厳密には栄氏がパワハラで解任されたわけではないことがおわかりだろうか。彼の脇の甘さには呆れるが、はたしてその指導者人生が全否定されるほどの悪行を働いたといえるのか。

 そしてこの度、栄氏は至学館大監督に返り咲いた。

「実は昨年末、栄さんは学外コーチとして現場に復帰しています。やはり至学館の選手からは頼りにされているんですよね。6月の大会ではセコンドにつこうとしていましたが、時期尚早だと協会から自重を促されています」

 9月の世界選手権は自費でカザフスタンに赴いて、応援席から観戦したという。

「でも、監督になったからには協会もノーと言えない。12月の全日本選手権は当然セコンドにつくでしょう」

 女子の日本代表は、リオ五輪で四つの金メダルを獲得したが、先の世界選手権ではたった一つだけ。

「やはり栄さんにすがるしかない。伊調が一線を退き、現場での反対の声はない。東京五輪では代表のセコンドを務めてほしい」

 脇を締めて臨むべし。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

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