精神障害者手帳取得アラフォー女性が「障害者限定公務員試験」を受験して疑問に感じたこと

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 ブラック労働、うつ病、自殺未遂、生活保護……凄絶体験を自伝的エッセイ『この地獄を生きるのだ』『わたしはなにも悪くない』として発信、NHK「ハートネットTV」「あさイチ」でも紹介され反響を呼んだ漫画家・文筆家の小林エリコさん。現在は障害者手帳を取得、生活保護を切り、社会復帰されています。今回は「障害者雇用の歪み」について執筆していただきました。

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史上初の障害者枠の公務員試験

 中央省庁による障害者雇用の水増し問題があった。企業は全体の従業員の中から2.2パーセントの障害者を雇わなければいけないと法律で決まっている。守らない会社は罰金を払うことになっていて、障害者を雇いたくないために罰金を支払う民間企業も多い。

 しかし、障害者雇用を推進している国が障害者を雇わず、雇っていると数字をごまかし続けていたのだ。障害者としては怒りを禁じ得ない事件だった。しかし、この事件を受けて、「表沙汰になったのだから、これから中央省庁は障害者を雇うことに積極的になるはずだ」と考えた障害者も多いと思う。

 私もその一人だ。ネットで検索をして、公務員の障害者雇用の試験を探すとわりかしすぐに見つかった。どうやら水増し事件を受けて、国が初めて障害者限定の試験を行うという。

 応募用紙をプリントアウトして、記入をするのだが、記入する項目がとても少ない。名前や住所などの基本的な情報と自分の障害についてくらいしか書くところがない。学歴も職歴も書く欄がないのだ。疑問に思いながら、公務員試験というのは学歴などを見ないものなのかもしれないと考えた。

 障害者枠とはいえ、公務員試験を受けるのは初めてなので、勉強しようと思い立ったのだが、障害者雇用枠の公務員試験の問題集がないことを知った。そもそも今回が初めて行われるのだから当たり前といえば当たり前だ。

 ネットで調べていて、通常の公務員試験の問題集を解いておけばいいという記述を見かけたのだが、公務員試験が一朝一夕でできるものではないということに調べているうちに気がついた。自分が大学生の時ならなんとかなりそうだが、学校から離れてだいぶ経っているので、良い点数を出せる可能性は低いと気がつき、勉強するのを諦めた。

 しかし、今回の試験は私と同じように、社会からはみ出してしまった障害者がたくさん受けるのだから、平均点は低くなるはずだ。そもそも、国が行う初めての取り組みなのだから、もしかしたら受かるかもしれない。

 しかし、なぜ、応募書類に職歴を書く欄がないのだろう。書くことができたら、私は働いている実績があるので、他の応募者よりも有利なのに。疑問に思いながら、試験当日を待った。

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