ビートたけし「おい、刀出せ!」と恫喝…元弟子が語る森社長「吊し上げ糾弾会」
「テメエ、コノヤロー‼」
〈それが冒頭で紹介したシーンだが、その時に録(と)られていた音声データと石塚さんの証言をもとに、ここにたけしの「恫喝」を再現する。なお当時、たけし側は、「恫喝は全くないです」(つまみ枝豆)と語っていたのだが――。
森氏が、
「殿ご自身が経営には……」
こう説明している最中のことだった。
《ガンッ》
たけしが湯呑みを叩きつける音が響く。彼をはじめ、軍団も総立ちとなり、森氏に襲いかからんばかりの緊迫した空気が漂った。
そして、ついにたけしが「一線」を越える。
「おい、刀出せ!」
森氏に殴りかかろうとするたけし。石塚さんがたけしを羽交い締めにし、何とか事なきを得たものの、悲鳴や怒号が飛び交い、現場はカオスと化す。たけしは、なおも森氏を一方的に責め立てた。
「なめてんじゃねーぞ、コノヤロー!」
「テメエ、いい加減にしろよ、コノヤロー‼」
「うじゃうじゃ、うじゃうじゃ、適当なことばっか言いやがって!」
「腹括れよ、おまえ!」
「おまえ、普通だったら軍団も半端じゃねえぞ。おまえ、いいかっ? おまえ、30年も騙され続けて、最後の最後にこのザマだぞ。この汚さ、見たか、えっ」
「(軍団)全員に何株かずつ返せよ。それで、(株の)贈与税も全部テメエで払えよ。いいかっ!」〉
今から振り返れば、この日が最後の「チャンス」だったと思います。結局、この直後に、殿はオフィス北野を辞めて独立し、T.Nゴンに移籍。そして、一緒に連れて行ってもらえると思っていた軍団メンバーはオフィス北野に置いていかれ、今年6月には幹子さんとの離婚が明るみに。この日、誰かが「殿、目を覚ましてください」と言えていれば……。結果的に、これを境に横井さんを妄信する殿の「孤立」は深まっていきました。やはりこの日が「ポイント・オブ・ノーリターン」、後戻りできない境目だったと思います。
〈以後、たけしのもとから、より正確に言えば横井氏に幻惑されるたけしのもとから、次々と人が去っていく。森氏、スタイリスト、マネージャー、幹子夫人……。たけしを尊敬して止まなかった石塚さんもそのひとりだった。横井氏に振り回されるのは、また、そんな彼女を野放しにしているたけしのもとにいるのは限界だった。〉
(2)へつづく
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