少年野球「背が低い」「早生まれ」の選手は本当に不利なのか
プロ野球で起こる「早生まれの逆転」
早生まれの選手が逆転することは現実にある。
「たとえば先日のプレミア12の『侍ジャパン』。最初に招集された投手の中に、4〜6月生まれがいませんでした」と勝亦さんは指摘する。「早生まれの逆転」だ。
プロ野球の投手では、この逆転が起こる傾向が顕著だという。「背が大きくなって、筋力がついてきて技術も伴ってくれば、自分から主導でプレーできる投手の場合、逆転の可能性がある。一方の打者(野手)は受け身です。投手が投げるボールに対応する技術を培うには、ある程度の経験値が必要で、時間がかかるんだと思います」
だとすると、早生まれで野手をしている子の場合、出場機会に恵まれなかったりしてモチベーションが上がらないまま野球から離れているのかもしれない。
勝亦さんと話していると、「メジャーでプレーしたあの選手も早生まれだったのか」と驚かされる。
「私は少年野球、中学校の野球部で全国大会に出たんですが、当時、身長が低くて目立たなかったチームメートが、高校で急に大きくなった姿を見ました。でも野球は続けていなかったんです。『ああ、彼が野球を続けていたらもっとうまくなってたかも、もったいないな』と思いました」
その上でこう勝亦さんは強調する。
「何を基準に選手を評価するのか。身長や生まれ月は大きな要素になるはずなのに、見過ごされています。そのために過大に評価される選手もいるし、過小に評価される選手もいます」
ちなみにサッカーでは1月生まれを始まりとして12月生まれを終わりとする区切り方で、「U12」など年代ごとのカテゴリでの選抜を行っているという。
「学年で区切ると、早生まれは不利です。でも1月生まれが始まりになると、今度は早生まれが脚光を浴びやすい。“学年”にとらわれず、複数の選抜の物差しを持つことで、埋もれた才能の発掘につながるわけです」
限定的だがこの仕組みは野球でも取り入れられているそうだ。とはいえ小学校、中学校、高校、大学と学校の区分で行われることがほとんどの野球である。もっと生まれ月という視点で才能を世に出すチャンスを増やすほうが良いと筆者は思うのである。
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