「安倍総理ベッタリ記者」山口敬之逮捕を中止した、次期警察庁長官の忖度捜査
安倍総理「秘書ご子息」のケンカに捜査1課を投入した次期「警察庁長官」(2/2)
2015年、ゲームセンターで起きたケンカの捜査に、警視庁刑事部捜査1課が投入される異例の対応が行われた。被害者は、安倍総理の政策秘書経験者の子息。当時、刑事部長を務めていた中村格氏の意向を受け、釣(つり)宏志・捜査1課長(当時)が下した判断だった。中村氏による忖度捜査は、“総理ベッタリ記者”こと山口敬之・元TBSワシントン支局長の一件でも行われている。
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ここで、中村氏のプロフィールを駆け足で紹介しておこう。毎年20人ほどが採用される警察庁キャリアは、30年余の時間をかけてふるいにかけられ、残った者が全国の警察官30万弱を統べる警察庁長官に就く。警視庁トップの警視総監も同様にキャリアから選ばれるが、同期から「長官・総監」が同時に出ることはほぼない。
福岡県出身の中村氏は、ラ・サール高から東大法を卒(お)えて1986年に警察庁へ入庁。警視庁捜査2課長などを経て、民主党政権が誕生した09年9月、官房長官秘書官に就いた。12年12月、自民党が政権を奪取した際、交代して警察に戻る流れだった。しかし、民主党時代の秘書官で終わりたくなかったようで、就任したばかりの菅義偉官房長官に「続けさせてください」と土下座して“猶予期間を得た”というのは語り草だ。
さる警察庁OBはこんな見方をする。
「それ以降は、国内の実力者と菅さんとの間を繋げたりとか、忠実なしもべとして活躍し、信頼を勝ち得たわけです。昭和61(86)年入庁組は当たり年で長官・総監候補が複数いた。少なくとも中村君が菅さんの秘書官になるまでは、露木(康浩)君が長官レースでは先を走っていた。彼は内閣法制局に出向した経験もある秀才タイプ。でも現在、彼は刑事局長で中村君の後塵を拝している。トラブルを回避する高い危機管理能力を誇る中村君を官邸の番犬・守護神として菅さんは重用し、結果、中村君は出世してきた。今でも菅さんとは1日1度、会うか電話をしている間柄らしいよ」
秘書官を5年半務めて回って来たのが、警視庁刑事部長のポストだった。
警視庁刑事部には捜1のほか、贈収賄や詐欺などの2課、鑑識課など様々な捜査担当部署がぶら下がっている。
「警視庁にとって、捜査2課の贈収賄摘発がどんどん減っているという懸案がありました。14年には過去30年で初めてゼロに。でも中村さんは就任してから幾つかの贈収賄を手掛けました。自ら温めていた案件だと言われていますね」
と社会部デスク。その余勢を駆って、16年8月から警察庁に移り組織犯罪対策部長に、17年8月には総括審議官、そして18年9月、次長に次ぐ官房長に就いた。
「この国会が閉じた後、現在の長官が退任する内示が出る可能性があります。長官自身も何となくそんな心持ちのようで、そういうことなら早ければ来年1月にも次長が長官に、中村官房長は次長に昇進し、東京五輪を迎えることになるでしょう」(同)
これまで次長が長官にならなかったことがないわけではないが、文字通り次期警察庁長官に上りつめることになるわけだ。
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