大関貴景勝、記者と口を聞かない“冷戦”状態に 理由を尋ねると…

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貴乃花が憑依した

 他方、貴景勝のさる支援者はこう彼の沈黙を慮る。

「あの稀勢の里を引退に追い込んだのと同じ、完治しないといわれる左大胸筋を負傷したから不安なんだと思う。かつての師匠・貴乃花も故障に苦しみ、2002年の秋場所まで7場所連続休場を経て復帰した際、千秋楽まで無言を貫き武蔵丸と優勝争いを繰り広げた。貴景勝も綱取りの大事な時期だからこそ、貴乃花の相撲魂が憑依したのでは」

 で、師匠の千賀ノ浦親方にも尋ねてみたところ、

「今場所は勝ち越しを狙っているから、ゲン担ぎみたいなものじゃないかな。まぁ、理由は本人に聞かないと分からないけど」

 ならば、ここはご本人にご登場頂くしかあるまい。6日目の朝稽古後に貴景勝を直撃し、なぜ沈黙を続けるのか、これまでの諸説諸々をぶつけてみた。最初は仏頂面でも、繰り返しの質問に業を煮やしたのか、長い沈黙を破った彼は、

「……何もないっすよ」

 と一言だけ口にして、宿舎に入っていったのだった。

 翌7日目は見事4勝目を挙げてようやく支度部屋でポツリ、ポツリと取組についての感想を漏らし始めた貴景勝。本誌(「週刊新潮」)取材をきっかけとして、周囲の心配に気づいてくれたのならコレ幸いなのだが――。

週刊新潮 2019年11月28日号掲載

ワイド特集「女と男の名誉」より

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