誰もが落ちうる奈落の底とその先の救い:吾妻ひでお『失踪日記』 独選「大人の必読マンガ」案内()
吾妻ひでお氏が10月、69歳で亡くなった。
今回は追悼の念をこめて本コラムで「いつかは」と考えていた『失踪日記』(イースト・プレス)とその続編『失踪日記2 アル中病棟』(同)を取り上げたい。
帯で「全部実話です(笑)」とうたう『失踪日記』は3部構成で、第1部と第2部が吾妻氏自身の失踪時の体験記、第3部は自らのアルコール依存症の発症と治療のプロセスがテーマだ。2005年2月の発刊と同時に大きな話題を呼び、 主要な賞を総なめしたので、手に取った方も多いだろう。...