阿部詩が柔道GS大会で兄・一二三も困惑するほど号泣 怪物アスリートとの共通点

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対外国選手の無敗記録が途切れる

 阿部詩は外国人選手には16年のシニアの国際大会初登場から無敗の48連勝中だったがついにストップさせられた。

 この日、ここまでの勝ち上がりは快調ですべて一本勝ち。一回戦は14秒、3回戦などたった5秒でカメラマン席の筆者がレンズを向けた瞬間に相手が吹っ飛び、シャッターチャンスもなかった。準決勝では代表争いのライバルの志々目愛(25 了徳寺大職員)を内また透かしのような返し技で一本勝ちしており、外国選手に負けたとはいえ、阿部詩の五輪代表選出がピンチになったわけでもなかった。

 激しい号泣で思い出すことがある。女子レスリングの吉田沙保里が2009年のワールドカップ(団体戦)でノーマークの選手に勢いがよすぎたタックルを返されて連勝記録を119で止められた時、周囲が手を付けられないほど泣いた。もうひとつは田村亮子(現姓・谷)だ。高校生時代の1991年、世界選手権で当時の女王K・ブリッグス(英国)に敗れた際、すごい泣き方をした。「高校生なのによくやった」などという言葉は耳に入らない。目の前の相手に負けたことだけが悔しいのだ。

 実は初対戦は田村が勝っていた。今回の阿部も過去、ブシャールに4度も勝っていた。彼女たちは記録云々とか、五輪に出られる、出られないとかに関係なく、ただただ相手に負けたことが悔しく、そんな自分が許せず悔し涙を流す。こういう泣き方ができるのは阿部詩が今後、田村や吉田のような「怪物アスリート」の片鱗を備えているからでもあり、今回初めて見た阿部詩の涙は「強い女」の証明だと感じた。

 表彰台でも泣いていた阿部詩は、会見で「最後は自分の甘さが出てしまった。相手の圧力を受けて、勝たないと、という気持ちが強くなりすぎた」などと涙顔で話した。時間がたち、すこし冷静になったがまだ目は赤く悔しそうな表情は変わらなかった。

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