10日で2度犯人に逃げられた大阪地検、トップを直撃取材すると…

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「コメント、出してる通り」

 アホかという材料はほかにもある、と府警担当記者。

「10月30日にも、同じように逃げられているんですよ。ひき逃げ事件で起訴後に保釈が取り消された被告女が、大阪地検岸和田支部に出頭後に車で逃走する事件があったばかり。女は2日後に確保されましたが、今回はその失態からわずか10日後に起きたわけです」

 甲南大学法科大学院教授(刑法)の園田寿氏はこう指摘する。

「検察事務官というのは本当にふつうの公務員。逃走を図ろうと暴れる被疑者に対する訓練は受けていないわけです。今回の護送は3名でしたが、それ以上に人員を割けるかといえば難しいかもしれません。やはり、護送においては警察への協力要請を行うべきでした」

 一方、元東京地検特捜部検事で弁護士の高井康行氏の意見は厳しい。

「公務員ではありますが、法の執行機関の公務員です。行政をやっている公務員とは違うので、それなりの覚悟も知恵も必要です。逮捕術を学んでいるかどうかではなく、手錠や腰縄の扱い方の教育と訓練が足りなかっただけ。検察には、自覚と誇りをもう一度持ちなさいと言いたい。誇りというのは、責任感の裏返しでもある。今回の件で、責任感の欠如が明らかになったのではないでしょうか」

 人生さんなら、まちがいなく「責任者出てこい!」と口にするだろう。そこで、責任者である大阪地検のトップ、田辺泰弘検事正を直撃した。しかし、「コメント、出してる通りですから」と言うのみ。大植逃走について検事正コメントは出してないのに、なんとも無責任な反応ではないか。ただ、検事正は事件前日の11月8日付で着任したばかり。ちなみにその前日、7日は検事正の59回目の誕生日であった。よりによってなぜこんなときに……と、ぼやきたいかもしれない。しかし実際に逃走事件は起きた。再発防止策も含め、仕事を引き継ぐなど、責任者として岸和田の教訓を生かせなかった事実は重い。

週刊新潮 2019年11月21日号掲載

ワイド特集「パレードと人生行路」より

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