「平成の大合併は失敗だった」となぜか「日弁連」が批判

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 人口減対策のための地方行政効率化。そんな名目のもと、政府が1999年から約10年間推し進めた“平成の大合併”により、市町村の数は3232から1727に大激減した。合併を選んだ旧市町村では今、何が起きているのか。

 日本弁護士連合会が11月6日に開いたシンポジウムで、合併した旧町村47のうち43が人口減に直面していると明らかにした。

 例えば、2005年に長野県長野市に編入された旧大岡村。合併前は人口1389人だったが、15年には30・9%減少して960人にまで落ち込み、高齢化も進んでいるという。また、村役場は長野市大岡支所になり、公務員は12人減っている。

 自治体の減少が、過疎化の進む一因となった面が浮び上がる。が、そもそも省庁や民間のシンクタンクでなく、日弁連が検証調査を行ったのはなぜか。

「全国の空家問題がきっかけでした」

 こう語るのは、調査を担当した日弁連の小島延夫弁護士だ。

「全国に空家が増加したのは、市町村の合併が関係しているのではないかと考えていました。そこで熊本県立大学の小泉和重教授に協力を仰ぎ、自治体が公にしているデータなどを分析した結果を公表したのです」

 政府の地方制度調査会は昨年7月、40年に高齢者人口がピークを迎え、全国自治体の半数が存続困難になる恐れがあると指摘し、むしろさらなる合併を推し進めようとしている。これに小島弁護士は、

「政府の方針には、多くの市町村長が反発しています。国は認めないでしょうが、平成の大合併は失敗だった。検証もせずに再び合併を進めれば、同じことの繰り返しになる恐れがあります」

 総務省自治行政局市町村課に聞くと、

「日弁連が開催したシンポジウムの詳細を把握していないので、コメントできません」

 合併が進み、故郷は消えて行く。

週刊新潮 2019年11月21日号掲載

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