「韓国私費旅行」を職員に呼びかけ批判された愛媛県知事の言い分

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 両国首脳が握手をしても、それはあくまで表向きの話。依然、日韓関係は冷え込んだままである。そんななか、愛媛県は職員に対して私費での韓国旅行をうながした。松山市とソウルを結ぶ航空路線の搭乗率を上げる目的というが、なにやら面倒な事態になっていて……。

 松山空港からのソウル直行便はいま、韓国の格安航空会社(LCC)「チェジュ航空」が運航している。週に3往復。過去に他社直行便の撤退はあったものの、LCCが2年前に就航して以来、90%近い搭乗率を維持してきた。片道約2時間、往復の値段も平均で1万7千円ほどと、実にお手頃である。しかし、と県政担当の記者が言う。

「薄利多売ですから、搭乗率が80%を割ると赤字になる。しかし昨今の日韓関係の悪化で、今年7月まで80%を超えていた搭乗率が、8月は75%、9月は63%に落ち込んでしまいました。10月末から来年3月末までの冬ダイヤで予定していた週5便への増便も見送りとなった。採算ラインを割ったこともあり、県は、搭乗率の10%アップを目標に、10月から12月で計660人の利用が必要と試算したのです」

 この結果をもとにして、

「県の国際交流課は職員に対し、職員自身やその家族、知人の韓国私費旅行を奨励する呼びかけを行いました。10月ごろ口頭で伝えると同時に、各部局に目標人数が割り振られ、実績の報告を求めたといいます」

 これが、職員や有識者からの反発を招いたと報じられた。11月6日付の朝日新聞は、〈一部の職員から「上司から頼まれたら断れない」などと批判の声〉と書き、同日付の毎日新聞もこう紹介している。〈有識者指摘「職員の忖度問われる」〉

 つまり、LCCを利用するか否かは、職員にとっての“踏み絵”というわけだ。

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