自衛官を辞めて専業主夫になった夫とは「もう無理…」そして彼女は不倫にハマった
許されないとわかっていながら、人はなぜ不倫してしまうのか。不倫している当事者たちの声から、恋愛指南の著書多数の二村ヒトシがひもといていく新連載「良い不倫 悪い不倫」。第1回目は、某アパレルメーカーの宣伝部に勤務する水谷舞衣さん(仮名・37歳)。夫も子どももいる一見ごく“普通”の働く人妻が、元カレとの不倫にハマった理由とは。
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「もう夫とはできない」と思った瞬間
二村:まずは、ご家庭のことから聞かせていただきたいんですが。
舞衣さん:夫は2歳年下の35歳。子どもは小学生の男の子が2人です。
二村:もちろん2人ともタネは旦那さんですよね?
舞衣さん:はい、そこは間違いなく(笑)。でも夫ったらひどいんですよ。2人目の妊娠がわかった時に「ほんとにオレの子?」って言ったんです。「ちょっと待って、あの時、したでしょ?」って言っても「心当たりない」って。
二村:ということは、旦那さんも何となく勘ぐってるってこと?
舞衣さん:ほぼレスの状態だったので、内心ずっと「ほかに男がいるんじゃないか」と疑ってたんでしょうね。今でも「何かきっかけさえあれば、こいつは」って思ってるんじゃないかな。常に目に見えない鎖でつながれてる感じです。でもつながれればつながれるほど、食いちぎりたくなるというか。
二村:食いちぎらないでしょ、じゃらじゃら音がしないように慎重に、鎖を長く伸ばしているんでしょ。ご結婚されるまでの経緯は?
舞衣さん:知り合ったのは私が24歳、夫が22歳の時で、きっかけは友人の紹介です。「高校は剣道部で、今は海上自衛隊勤務の優良物件がいるんだけど」って(笑)。実際私は、初めて会った時からこの子かっこいいな、って思ってました。最初はグループで遊んでたのがだんだん2人で会うようになって、そうなってからはわりとすぐ付き合い始めましたね。
二村:舞衣さん自身は、もともと結婚願望は強かったんですか?
舞衣さん:それが全然。むしろ結婚したくないと思ってましたし、彼から「結婚しよう」と言われたこともなかった。でもある時、妊娠検査薬にピッて赤い印が……。でき婚じゃなければ、籍は入れてなかったと思います。
二村:でも結果的に、後悔はなかったんでしょ?
舞衣さん:はい。彼のことは年下で可愛かったし、“男の生きもの”として好きでした。なので、彼の子どもなら産んでもいいかと。いざ息子が生まれたら息子の方が可愛くなっちゃいましたけどね。ところが育休が終わる直前に突然、夫が仕事を辞めると言い出して。
二村:え、そのタイミングで?
舞衣さん:「子どもができたら、時と場合によっては命を賭けることにもなる今の仕事を続けるのが怖くなった」と。「単身赴任ばかりで、一番可愛い時に一緒にいられないのが辛い」「今の舞衣ちゃんの稼ぎなら、贅沢しなければ十分やっていけるよ」って。そう提案されてみれば、私は家のことするのが苦手で、夫の方がなんでも手際がいいんですよ。
二村:じゃあホントに前向きな意識高い系の“家事育児は僕がやるよ”的な。旦那さんが家のこと全部まわしてくれるようになったおかげで、舞衣さんは思う存分仕事ができているわけだ。それって、今の働く女性たちにとってはひとつの理想型のようにも思えるんだけど。
舞衣さん:そこは本当に感謝しています。私の会社、入社した時は小さなブランドだったのが、その後急成長したんです。私は最初は販売員として入ったんですが、タイミングが良かったおかげで本社に行けて、わりと上のポジションに上がることができた。そういうチャンスの時に全力で仕事ができたのは夫が家のことをやってくれたからこそです。一方の夫の職場は、ノンキャリアだと出世は望めなくて。
二村:あなたと自分を比べて、仕事のやる気が萎えちゃったのもあるのかな。
舞衣さん:それもあるかもしれません。だから私もあまりキツいことを言いたくなかったし、子どもにお金がかかるようになったらまた働いてくれるだろう、ぐらいに思ってとりあえずは受け入れたんです。ただ……、これは実際にそうなってみて初めてわかったんですが、夫が仕事を辞めて、掃除だ洗濯だ子どもの送り迎えだってかいがいしく家事をこなす姿を見た瞬間に「私、もうこの人とはできないな」って思っちゃったんです。
二村:旦那さんが主夫になってくれた途端に、彼に「強いオス」を感じなくなった……。
舞衣さん:自分の中に、こんなにも偏見があるなんて思いませんでした。ひどくないですか? 仕事では「自立した女の魅力!」みたいな広告作ってるのに。
二村:いや、わかりますよ。ひどいっちゃひどいけど、それは仕方ないんじゃないのかな。生理的って言うか、性的な好みの問題でしょ?
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