文在寅がGSOMIAで米国に“宣戦布告” 「茹でガエル」戦術から一気に米韓同盟消滅?

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反米煽るハンギョレ

 11月14日、政権に近いハンギョレ新聞が伏線を敷くかのような記事を載せました。

 ファン・ジュンボム・ワシントン特派員が書いた「『同盟とは何か』問い直させる米国」(日本語版)です。まずは以下のように反米感情を煽り、米国には強気で抗せよと説きました。

・(GSOMIA問題で)日本の態度変化なくして韓国だけが一方的に引き下がれという(米国の)要求が続くなら、韓国国民は受け入れがたく、「同盟無視」という世論が高まるだろう。
・防衛費分担金交渉が、在韓米軍の撤収や縮小問題につながることもありうる。(中略)だが、在韓米軍をタブー視して、恐がる必要もない。

 そして結論部分で、同盟解体の覚悟を韓国人に迫ったのです。韓国ではなく米国が同盟を破壊しているのだ、との論理で。

・在韓米軍が韓国にとって永遠の定数であるはずもないということも喚起する必要がある。現在約2万8500人の在韓米軍の規模は、朝鮮戦争以後の国際情勢の変化などにより減り続けてきた結果だ。率先して同盟を傷つけるトランプの時代には、それに相応しい冷徹な備えが必要だ。

予想外に早く進む「同盟消滅」

 1年前に『米韓同盟消滅』という本を書きました。「共通の敵を失った米韓の同盟はいずれ、なくなるぞ」と日本人に警告を発するのが目的でした。

 その私も、GSOMIA破棄と在韓米軍の駐留経費分担問題を引き金に米韓がチキンゲームを始め、予想外に早く米韓同盟が「消滅」に動いたことに驚いています。

 韓国人も左右を問わず、事態が突然に動き始めたことに驚愕しています。「ほんの少し前まで、在韓米軍撤収が現実のものになるとは思っていなかった」「血盟と呼ばれた米国との同盟が崩れるとは想像もしていなかった」――などと口々に言うのです。世の中が大きく変わる時はこんな、あっけないものなのかもしれませんが。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月18日掲載

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