巨人「山口俊」&中日「大野雄大」、どん底に落ちた二人はなぜ復活できたのか?

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不祥事の影響

 技術面の進歩も当然あったが、自らが招いた逆境が、精神面でも山口を強くしたと大野氏は言う。

「不祥事を起こしたことで、周囲の人間から山口はあんな人間かと思われる。野球選手として絶対にあってはいけないことだが、そこから取り返すには、野球で頑張るしかない。本人もいろいろな意味で反省しつつ、今年はやらなければいけないという気持ちが前面に出たシーズンだったのではないか」

 見事に復活を果たした2人だが、「大事なのはタイトルを取った次の年」と大野氏はアドバイスを贈る。

「タイトルを獲ることは勲章になるが、その自覚を持ちつつも、変にプレッシャーに感じないことが必要になる。どんなにいい成績を残しても、シーズンが終われば、それで終わり。年が変われば、自分も相手も変わる。またゼロからのスタートの中で、技術面、精神面も含めて投球内容に磨きをかけなければならない。大野の場合は特に、オフに体のケアを怠らず、またキャンプからしっかりと体づくりから始めて、いかにベストな状態でシーズンを過ごせるかが重要だと思う。山口はリーグワーストだった四死球の多さが課題。もちろん状況によっては必要な四球もあるが、大半はムダなもの。原因は技術面にあるのか、それとも考え方にあるのか、そこをしっかり見極めて修正することが必要になる。2人に共通して言えることは、好成績を挙げた選手に対しては相手も当然、研究してくるので、今年の結果に満足することなく、さらに上のレベルを目指すことが大事。タイトルは毎年獲れるわけではないが、それに近い成績をどれだけ続けられるか。一流の評価を受けるかどうかは、これからの活躍次第になる」

 一度は地獄の苦しみを味わいながら、挫折を乗り越えた2人の来季が楽しみだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月17日掲載

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