逮捕されない徳井、逮捕された青汁王子……“脱税”における刑事事件化の基準とは

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1億円を超えなければ“セーフ”?

 この点、今年2月に逮捕・起訴された青汁王子こと健康食品会社「メディアハーツ」元社長の三崎優太(30)の脱税額は約1億8000万円。架空の広告宣伝費を計上するなどの工作を行い、2年間で約5億1300万円の所得を隠し、約1億4000万円の法人税と約4000万円の消費税の支払いを不正に免れた。古橋弁護士のいう所得隠しが1億円という基準以上であることは間違いない。その後の裁判では、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決が下っている。

 では、所得隠しが1億という基準を満たさなければ、告発されない……脱税事件化はされない、と考えてよいのか。

「法律で決まっていることではないので、絶対に告発されないとは言い切れません。脱税に対しては年々厳しい姿勢が取られています。以前は脱税の公訴時効は5年間で、調査に1~2年かかることから3年間で1億円というのが1つの基準と言われていました。しかし、法改正により、『偽りその他不正な行為』を用いた過少申告ほ脱罪の公訴時効は7年間と延長されました。今後、基準が下がることもあるかもしれません」(古橋弁護士)

 徳井は修正申告し、追徴課税や重加算税約3700万円を支払った。これで、今回の問題は解決となるのか。

「吉本興業の発表によれば、本件では国税局及び税務署の指示にしたがった結果大部分を申告漏れとして済ませているとのことですので、脱税として刑事事件になる確率は低いでしょう。ただし、脱税とされなくとも単純な無申告自体が刑事罰を受ける対象です。また、査察制度は、脱税に対し厳しく当たることで、納税を適切に行わせることを目的の一つとしています。徳井氏のような影響の大きい著名人は特に油断できません。仮に徳井氏がまた無申告を繰り返したり、他の不正が発覚したりした場合には刑事事件となることもあり得ます。国税局としても、脱税に甘い態度を取っていると非難されるのは避けたいはずです」(古橋弁護士)

 今回の件で多くの仕事を失った徳井。再び税務調査のターゲットになるほどの収入を得ることができるのかは、彼自身の努力次第というところだろう。

森下なつ/ライター

週刊新潮WEB取材班編集

2019年11月17日掲載

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