反天皇制イベントを追いかけて(KAZUYA)
前回に引き続き、「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」のプレイベントについて書きたいと思います。
尾道市百島(ももしま)で行われているプレイベントでは、「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に作品が出ていた大浦信行氏(昭和天皇の写真を焼いた上で踏みつける映像の作品)や小泉明郎氏といった作家も出展しています。
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前回は大浦氏の作品について書きましたから、今週は小泉氏の作品です。2階の展示室は大型のスクリーンが三つ並んでおり、《夢の儀礼(帝国は今日も歌う)》と名付けられた小泉氏の映像作品を鑑賞できます。上映時間は約20分です。
冒頭は主演の男性が「父さん行かないで」「怖いよ」などとボソボソ言っています。しばらくすると場面が替わり、日の丸や旭日旗を持った人々のデモ行進の様子になります。現場は相当荒れた様子で、機動隊が警備に当たっており、主演の男性は何故か手錠をして歩き、先ほどと同様に「怖いよ」などと声をあげます。
しばらくすると不思議なシーンがありました。沿道から「日本から出て行け!」と何度も叫ぶ女性が映し出されるのです。日の丸持って行進している人たちに向かって日本から出て行けというのは変な話です。
そんなことを考えながら、ふと作品説明のパンフレットを見ると、次のように書かれていました。
【本映像は2016年、終戦記念日である8月15日に靖国神社近辺で行われた「反天皇制運動連絡会」(反天連)による黙々としたデモ行進と、そのデモを威嚇する反・反天連の人、それを押し止めようとする警察官が映る】
謎が解けました。日の丸を持って歩く人たちの様子かと思いきや、いつの間にか反天連のデモ活動の様子にすり替わっていたのです。
今は本当に便利な時代で、実際の映像が残っていました。2016年当時の反天連のデモ活動の様子を見ると、プラカードを掲げて「君が代いらない」「アキヒトやめろ」などと叫んでいます。これが黙々としたデモなのか。
そうして場面がまた替わり、皇居が映し出されます。僕が感じた全体的なイメージとしては、日の丸や旭日旗、そして皇室を「なんとなく怖い」と思わせるような作品だということです。反天連であるというのは映像で一切隠しているあたり巧妙なプロパガンダと言えるでしょう。
芸術は心を揺さぶるものです。しかしこの展示はあまりにも一方的すぎるのではないかと感じました。考えるきっかけだと言うのであれば、別の視点から天皇を取り上げた作品があってもいいと思うのですが……。天皇を取り上げることが問題なのではなく、表現の自由を掲げて逸脱しすぎた作品を県が主導する芸術祭で展示する必要があるのかという話です。
ちなみにひろしまトリエンナーレの公式HPを見ると、プレイベントの告知を当然していますが、天皇関連以外の作品画像しか掲載されていません。やはり問題だとの意識があるのだろうか?