サイゼリヤは高級食材と高級調味料の宝庫 本格イタリアンを楽しむ“裏ワザ”を紹介

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サイドメニューが高品質食材

 このグランモラビア、日本ではほとんど流通していないチーズだという。さらに、本場イタリアでスパゲッティ・カルボナーラに使われる、日本では希少なペコリーノチーズも100円で注文できる。

「主菜となるハンバーグやステーキ、チキン料理などの肉料理は、ガストなど他のファミレスに対抗するためなのか、イタリアンにはなっておらず、普通のファミレスのメニューと同じです。ところが、サイドメニューとなるプロシュートやサラミ、ソーセージは本場イタリアの高品質なものを提供しています」

 プロシュートは、パルマ産生ハムで、1年熟成されているという。

「しっかりした熟成感と凝縮感がありクオリティーは抜群です。一般のスーパーでは入手できません。サラミもミラノ熟成サラミで、滑らかでとろけるような味わいが楽しめます。ソーセージはイタリアのサルシッチャです。日本ではドイツ式の燻製したソーセージが主流となっていますが、サルシッチャは生のソーセージをグリルしたもので、肉々しい旨みがダイレクトに楽しめます。日本では珍しいソーセージが気軽に食べられるという意味で、サイゼリヤは貴重な店と言えますね」

 さらに、水牛のミルクで作ったバッファローモッツァレラチーズもイチ押しだという。

「フレッシュなモッツァレラチーズは日本でも人気ですが、サイゼリヤのものは伝統的で貴重なバッファローのミルクを使っています。普通の牛乳で作ったものより濃厚な味わいです。サイゼリヤのメニューでは、バッファローモッツァレラチーズのピザがありますが、注文するときは、普通のチーズは抜きでオーダーしてください。ピザ用の黄色いチーズは風味が強くて、モッツァレラチーズのデリケートな風味がぼやけてしまうからです。そして、無料のグランモラビアを少しだけ振りかけると、味わいに立体感が生まれます。グランモラビアはモッツァレラの繊細さを邪魔しませんから」

 稲田氏はこんな光景を目撃したことがある。

「昼下がりのサイゼリヤで、東南アジア系の若者グループが食事をしていました。ライスにエスカルゴのオーブン焼きをオイルごと混ぜ、そこに辛味チキンの身をほぐして加え、唐辛子フレークで仕上げていました。私には思いつかない組合せだったので、その席に行って、写真を撮らせてもらいました。『フィリピンの方ですか』と尋ねたら、その通りでした。フィリピンの旧宗主国はスペインで、そこでは肉類と貝を一緒に調理するのです。しかも彼らは辛いものが好きなんです」

 稲田氏の手にかかれば、ごく普通のリブステーキが“牛肉のタリアータ”に変身する。

「リブステーキが出てきたら、鉄板の上からガルムソース(醤油味のソース)を取り出してテーブルの片隅に追放します。イタリアンに醤油味は合いません。付け合せのポテト、青豆、コーンを小皿に移します。鉄板の上に残ったステーキを、ナイフを斜めに入れて6切れほどにカットします。カットしたステーキを白い皿に移し、まずたっぷりのオリーブオイルを注ぎ、軽く塩を振り、多めのブラックペッパーを皿からはみ出さんばかりに広範囲にかけます。これでイタリアンらしくなります。このときデキャンタの赤ワインを飲んでいたら、ごく少量を肉と皿に振りかけるといいアクセントになります。最後に削りたてペコリーノチーズを惜しみなく振りかけると、牛肉のタリアータの完成です。付け合せのポテトたちは、オリーブオイルとグランモラビアを加えて、サイドデッシュ的な温野菜料理にします。ちょっとしたひと工夫で、料理は際立ちます。サイゼリヤの公式サイトを見ると、料理のアレンジを推奨していますので、店員の目を気にせず堂々とアレンジしてみたらいかがでしょうか」

週刊新潮WEB取材班

2019年11月13日掲載

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