茂木敏充大臣の買収疑惑・辞任した菅原一秀との違いは「秘書のせいにできるかどうか」

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全額払ってくれない

 加えて、“アウト・セーフよよいのよい”を分けたものとして、メディア操縦法も挙げられるかもしれない。

 永田町関係者が、

週刊新潮の『茂木報道』があった後に、いわゆる大手メディアの幹部に茂木本人が連絡し、“総務省のお墨付きがあるから、何の問題もない。だから新潮に乗っかると誤報になっちゃうよ”といったようなことを伝えてまわったと聞いています」

 と話すように、実際、

〈経済相が公選法違反報道に反論〉(毎日新聞)

〈茂木事務所「問題ない」〉(下野新聞)

〈茂木大臣が記事に反論〉(テレビ朝日)

 と、各メディアの報道も茂木大臣の言い分を垂れ流したに過ぎないものだった。ネガティブな部分をほぼ抑え込んだわけで、ザ・火消し芸である。その匠の技は、茂木大臣が担当した日米貿易交渉の“成果”を喧伝する際などにも遺憾なく発揮されている。菅原氏ならメディア側に一蹴され、あるいはその「火消し依頼」を逆に暴露されただろう。茂木事務所の関係者によると、

「栃木の選挙区選出の代議士ならみな香典持っていくと思いますよ。じゃないと、“なんだ、何もないのか”ってなるから。茂木は3点セットを配ったけれど、メロンとか高額で目を惹くものとは違う。そこも菅原との違いでしょう。それに、茂木問題が取り沙汰された時、追及する側の野党の玉木(雄一郎・希望の党代表=当時=)が政党支部を通じて慶弔費を出していたと報じられましたよね。言い訳も茂木とほぼ同じで、そうなると“撃ち方やめ”ってムードになりますよ」

 敵失という運も味方につけなければ、自称総理候補の道は覚束ないのである。

「菅原のところは香典代を秘書が立て替え、月末に精算するんだけど、全額は払って貰えないらしい。そういうことが続けば秘書は事務所を離れ、今回みたいにベラベラ喋るよね。茂木も秘書にパワハラ気味で厳しく、派閥若手の面倒をまるで見ないと言われてきたけど、少しその辺りも軟化してきているようです」(先の永田町関係者)

 たとえパワハラ気味でも意に介さず。茂木大臣のモットーは「春風接人」、つまり“人に優しく”で、菅原氏とは格の違いを見せつける。最後に、政治アナリストの伊藤惇夫氏の話。

「結局、秘書のせいにできるかどうかにかかっています。“秘書の独断によるもの”とウソの弁明で押し通そうとしても、写真という究極の証拠があると世論が持たない。しかも内部リークあってのあの詳細写真でしょうから。菅原さんの後ろ盾の菅さんもそれを察したはずです」

週刊新潮 2019年11月7日号掲載

特集「自称総理候補『茂木敏充外相』に学ぶ『法律違反』の逃れ方」より

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