即位のパレードで使われる8000万円「センチュリー」を羨望の眼差しで見る人々の正体
11月10日(大安)に催される、祝賀御列の儀。天皇皇后両陛下が国民からの祝福を受けるパレードである。その場に駆けつける人々の中には、ご即位を祝いつつも、意外な物に目を向ける人も――。お二人がお乗りになるトヨタ「センチュリー」の特注オープンカーだ。
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センチュリーのオーナーズクラブ「鳳凰倶楽部」の川原弘幸代表が語る。
「残念ながら私は、仕事のためパレードには行けませんが、メンバーの中には、駆けつけるという人も多いですね。センチュリー・オープンは写真で見ましたけど、この目で見てみたいですからね」
やはり、センチュリーのオープンは珍しいのだろうか。
「もちろんです。我々の鳳凰倶楽部にもオープンの所有者はさすがにおりませんし、オープンの所有者がいるという噂も聞きません」
ちなみに鳳凰倶楽部とは、センチュリーだけに与えられた鳳凰のエンブレムに由来する。
「昔、中古のセンチュリーの屋根を、サンダー(金属の研磨などに使用される携帯式電動工具)で無理やり切り取った暴走族がいたと聞きますが……。屋根付きの車の屋根を外すと補強も必要になりますからね、お金も掛かるでしょう。今回のパレードで走るセンチュリーは、21年ぶりにモデルチェンジした3代目の特注タイプです。3代目はまだ台数が少ないので、滅多に見る機会がありません。それをオープンにした、世界で1台の特装車です。ちなみに平成の祝賀御列に使用されたオープンカーは、英国製ロールス・ロイス・コーニッシュⅢでした」
90年11月12日に行われた平成のパレードでは、それまでの馬車ではなく、史上初めて自動車が使用された。そのため、前年におよそ4000万円で購入されたのがオープンタイプのロールス・ロイスだった。この車輌、次の晴れ舞台は、93年6月9日に行われた、当時の皇太子殿下と雅子様とのご成婚パレードだった。以来、公に使用されることのないまま、2007年に廃車となっている。
ちなみにセンチュリーの新車価格は1996万2963円(税込)、今回の御料車は総額8000万円をかけた改造車だ。
「報道によれば、車輌を決定するにあたり、トヨタや日産、ホンダ、ベント、ロールスなどにも打診したということですが、国産車でいくとなったら、選択肢はセンチュリー以外になかったでしょうね。先代のロールスには幌がありましたが、今回のセンチュリーには幌がないようです。両陛下のお姿を沿道から見やすいように、後部座席を4センチ高め、背もたれの角度も変えたのだと言いますからね。幌をつけたら、お姿が見えなくなってしまうかもしれませんね。雨天時の使用は想定していないのでしょう。ですから今回のセンチュリーも、走る姿を目にする機会は、なかなか巡ってこないかもしれません。だからこそ見たいですねえ。ちょっと心配なのは、新型センチュリーは、5・0リッターV型8気筒エンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッドということ。当然、大型のバッテリーが組み合わされているわけですが、走らせないとバッテリーがダメになっちゃうんじゃないかと……。まあ、そのへんは、トヨタがしっかり管理するのでしょうけど」
鳳凰倶楽部のメンバーの中には、対面が待ちきれず、タミヤのミニカーをオープンに改造したツワモノもいるとか。
「パレードの後に、東京と京都の迎賓館で展示されるということなので、そちらは是非、行きたいと思っています。鳳凰倶楽部は、年末に忘年会もありますから、その時は、このオープンカーの話で盛り上がると思いますよ。果たして、本当にナンバーはロールスの時と同じ『皇10』なのか、とか……」
鳳凰倶楽部では、毎月オフ会を開催している。デイリー新潮が昨年7月に取材したオフ会の模様を、抜粋して再録しよう。
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