神戸「イジメ教諭問題」「組体操中止論」に見る「教師の思考停止」
「教師の思考停止」
つまり、「10段ピラミッド」のような過度に危険な技を避ければ、安全に組体操は続けられるというのだ。
「SNSや動画サイトの普及で、他校でどんな組体操をしているのかが分かるようになり、危険な技を安易に真似する風潮ができています。しかし、ある学校では可能でも、他の学校でその技が安全にできるとは限りません。生徒のポテンシャルに応じた技を、現場の教師が吟味していくことが大切だと思います」(同)
結局、各校が適切に現場判断すればいいという至極当然の話に帰結するわけだ。リスクがあるから全廃。それはやはり極論であり、「間(あわい)」を認めない機械的で非人間的な決断と言えよう。
「何が危険なのかを教師が考えず、上からの全廃規制に従うだけでは、本来、教師に必要な資質であるリスクマネージメントの感覚は育たないままになってしまいます」(前出の内田氏)
日本体育大学体操研究室の荒木達雄教授が締める。
「上の判断で組体操を全廃することは教師の思考停止に繋がります。教師自身に安全対策を考えさせ、危険度の高い種目を変更するのが適切な対処ではないでしょうか」
悪は組体操そのものではない。組体操のあり方すら自分でマネージメントできない指導者が悪なのである。
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