神戸「イジメ教諭問題」「組体操中止論」に見る「教師の思考停止」
今、「ピラミッド」が消えようとしている。エジプトではなく日本で――。スポーツの秋に、ピラミッド等の技で魅せる運動会の組体操が論争の的になっている。火をつけたのは、イジメ教諭問題など、何かとホットな兵庫県の神戸市。同市の久元喜造(きぞう)市長(65)が、ツイッターで「組体操中止論」をつぶやいたのだ。
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〈何度でも言います。教育委員会、そして校長先生をはじめ小中学校の先生方にはやめる勇気を持って下さい〉
神戸市内の学校で、運動会の組体操による骨折事故が相次いだことを受け、9月9日、久元市長はこうつぶやいて組体操中止を訴えた。その後、同じ兵庫県の明石市では、来年度から市立の小中学校で組体操の実施を見合わせる方針が決定。組体操を「忌避」する状況が生まれつつあるのだ。
確かに、ピラミッドの「高段化」などが進み、組体操での負傷事故は各地で起こっている。しかし、だからといって「伝統」の組体操を全廃すればいいという議論は些(いささ)か短絡的すぎるのではないだろうか。実際、名古屋大大学院の内田良准教授(教育社会学)は、
「安全の確保さえできれば、組体操は子どもが体の動かし方、達成感や団結力の大切さを学ぶことができるプラス面の大きい競技です」
こう組体操の価値を説明し、印西市立木下(きおろし)小学校(千葉県)の齊藤秀樹校長も、
「組体操は体力だけでなく、耐える力の“耐力”、連帯する力の“帯力”も育てることができる。最近は『自分さえ良ければいい』と考える子どもが増えているなか、組体操で他人に体を預ける経験をすることによって、団結や連帯の素晴らしさを教えることができると感じています」
と、その意義を強調する。
「当校では組体操の評判は今でもとても高く、保護者から止めてほしいという意見は一切ありません。高学年が行う運動会の伝統種目としてこれからも続けていく予定です。当然、指導する側の教師は絶対に事故はひとつも起こさないという覚悟を持つ必要がありますが、実際、私が赴任してからのこの3年間、うちでは組体操による事故はゼロです。ピラミッドは3段までしか作らないようにしたり、『落ち方』を教えるなど安全対策を徹底しているからだと思います」(同)
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